料理好きたちのダイニング タレント 辺見えみりさん

2021.1.27

「家の空間」は、自分にとって昔から大事にしているもの。

―辺見さんのInstagramを見ていると、お料理と器とのバランスが魅力的だと毎回思うのですが、器へのこだわりはいつ頃からありますか?
「ずいぶん経ちますよ。以前やっていたブランドのときから器を扱っていたので、作家さんの個展や陶器市に行ったり、京都まで器を買いに行くこともあります。陶器市で見つけるのもそうですが、直接作家さんとしゃべるのが一番楽しくて、作った人の人柄を感じられるのがいいですよね。今回パスタを盛ったお皿は、児玉修二さんという作家さんのものなのですが、うちのお店で取り扱いが始まった時には2人でワインを飲みながらインスタライブをしました。修二さんもいい人だし、奥さんもほっこりした素敵な方で、娘さんもいらっしゃって、すごく素敵なご家族で。そういうのも作品に出ているなって感じます」
―確かに作家さんの顔が見られると、さらに愛着が沸きそうですね。
「このスプーンとフォークは、湯浅ロベルト淳さんという方が一つずつ手で作っているものなんです。今はなかなか皆さんと直接お会いすることができないので、ロベルトさんもそうなんですけど、うちのお店に置く時にはリモートで繋いで『普段から使っているから置きたいんですけど』って言ってお願いをしてますね。自分の気になる作家さんがポップアップをしているときには、積極的に足を運ぶようにしています。ご本人に会えることも、新しいものを見つけに行くのも楽しいですね」
―先ほど紹介していただいた、グラスはどこで見つけられたんですか?
「CIBONEだったかな。木村硝子店さんのものを結構置いていて、すごく素敵だなって思って購入しました。だから、そういうお店は結構行きますね。自分の足で探すのが基本好きなので、車に乗ってとにかく色んなところに行って。京都に行ったときにも、ヴィンテージショップもいっぱいあるので、大正時代の陶器を扱っているお店に行ったりしています」
―そうやって集められていると、ご自宅にも食器がたくさんありそうですね!
「自宅の器がいっぱいになってきたので、そろそろ棚が欲しいんですけどね。今は元々あるところに入れちゃっているので、新しくヴィンテージのアンティークな棚が欲しいなって思っています。でも、次に引越したら買おうかなって思っていて。今のところだとキツキツになっちゃうので、またキッチンの雰囲気が変わったら購入したいですね」
―ということは、家具へのこだわりも結構ありますか?
「家具も好きですね。自分にとっては昔から、『家の空間』っていうものが大事なので、こだわりのものを見つけて買うっていうことも多いです。その流れで食器があって、料理があってっていう感じ。なので、料理だけが特別好きっていうよりも、生活っていう自分の周りのこととして料理も入っていますね」
―空間が大事とのことですが、一番居心地のいい空間の決め手はなんですか?
「44年生きてきた中の自分のフィルターが、作った人に共感できるかってだけだと思います。人が良いって言っているものももちろん良いんですけど、お皿とか洋服とか家具って、自分にしかわからない心地よさってあると思うんですよね。とにかく自分軸で考える。それが一番のポイントになっているのかなって思いますね」
―自分軸で考える際の傾向はありますか?
「女っぽくないものだと思います。中世的というか、ユニセックスというか。家もあんまり女っぽくないと思うんです。そこに男性が住んでいてもおかしくないくらいの雰囲気のもののほうが、落ち着く気がします。そこに植物を置くことで、女性らしい柔らかさが出たりするほうが好きですね。人が言う可愛いと私が言う可愛いは、なんかズレているのかな?って思うことが昔からありますね(笑)」
―確かに器もシックな色みものが多いですね。
「持ち物も黒などが多いですね。色みよりも、フォルムとかに女性らしさを感じられるものが好きですね。このワイングラスも曲線が好みで選びましたし、パリの蚤の市で購入したこのカトラリーレストも、どこか女性らしさがあるところにそそられました」

食事の時間を長く共にしたいから、料理は凝ったものよりも簡単なもの。

―Instagramの#em食堂では、よくパスタの写真をあげられていますが、パスタはお好きなんですか?
「昔から料理はするけど、とにかく簡単なものっていうのを私は決めていて。ローストビーフを作るにしても、いかに簡単に作るかっていうことが大事です。あんまり凝って何時間もかけて作るっていうよりは、簡単にできる方法をとにかく探して作る。色々作るときでも、一個一個がそんなに長くかからないものが多いです。だから、パスタもよく作ります。あと、お友達が家にくるときには、作り終えていたいんですよね」
―それって、何か理由があるんですか?
「人と話すのが好きだし、食事がそこにあって『どやどや』っていうものを出すよりは、こっそりひっそりといる料理のほうが好きというか(笑)。どうだこれ!みたいな料理は作れないので、素朴な雰囲気で長く時間を共にできる食事メニューにしている気がします。ダラダラとワインを飲みながら、ずっと楽しめるものが好きですね」
―ワインに合うレシピは結構お持ちですか?
「私は普段白ワインしか飲まないんですけど、白って意外となんでもいけるんですよ。和食はもちろん、タイ料理にも合うし。私はシンプルで簡単なものを作るようにしているので、どちらかというと調味料にはこだわっているかも」
―こだわりの調味料はどこで見つけるんですか?
「調味料はネットで買うことが多いですね。この間も楽天市場で〈マルドン〉のお塩を買いました。最近はインスタとかでよく見つけて、ネットで頻繁に購入しています」
―最後に、一番の得意料理はなんですか?
「ポテトサラダかも。私のポテトサラダはコンソメで煮て、お芋に味をしっかりとつけるので、マヨネーズを山ほど使わなくても作れます。作っておくと楽だし、菜の花とか季節の野菜を入れると雰囲気が変わるから、飽きなく楽しめるので。ポテトサラダはいいなって思っています」

辺見えみり(へんみ えみり)

1976年12月16日生まれ。93年に「いちご白書」でドラマデビュー。数々のバラエティー番組に出演。2013年にアパレルブランド「Plage」をオープンし18年までコンセプターを務める。現在は自身のブランド「OUTERSUNSET」のディレクターを務める。写真内、本人着用のワンピース・エプロンはUNITED ARROWS green label relaxingとのコラボレーション商品で3月5日発売。

インタビュー・テキスト:戸塚真琴
撮影:猪原悠(TRON)
編集:長野宏美