KITCHEN LABO@blue monkey room 今月のラボ『ナッツバター』
2020.10.21
自然豊かな都市近郊のフードラボ「blue monkey room」に集まった、食のスペシャリストたちが繰り広げる、ちょっぴりマニアックな部活動。blue monkey(青い猿)とは楽しむことが大好きな、マヤ暦の星人の一つです。
@blue monkey room 今回の研究員
- ハヤシコウ(コウさん)
- グラフィックデザイナー、バール「クインディチ」店主。自称日本人初のイタリア人。
https://www.instagram.com/lukacca/
- 山内千夏(ちなつさん)
- イタリア料理研究家。料理教室「Mille Piatti」を主宰し、イタリアの家庭料理と食文化を伝える。
https://www.instagram.com/cinatsu/
- 佐久間真理(パンまりさん)
- 予約制の森のパン工房Veriteを運営。有機素材を中心に心とからだにやさしいパンを焼く
https://www.verite39.club/
- 堀込玲(レイさん)
- イタリア食材のコンサルタントで料理男子。ロングセラー「旅の指差し会話帳・イタリア」の著者。
- いこまゆきこ(いこまさん)
- 「いこまゆきこお料理教室」を主宰。和食・発酵が得意分野。良い食材を求めて全国各地を行脚。
https://www.instagram.com/yukikoshiawasegohan/
- 平野佐知(さっちー)
- T-SITE湘南料理塾のプロデューサー。国際中医薬膳師の資格保持者で点心も得意。
https://www.instagram.com/shonan_ryorijuku/
- 柴田香織(セカシバ)
- blue monkey room主宰者。現在東京と当ラボの二拠点生活中。今回の企画と執筆を担当。
https://note.com/blue_monkey_ks
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まずは、市販のナッツバターを
テイスティングしました。
今回は、色々なナッツでバターを作り、その使い方を考えてみます。まずは市販されているナッツバターを取り寄せてテイスティングを実施。なるべく副材料の入っていないものを選びました。
取り寄せて疑問に思ったのは、「バター」「ペースト」「クリーム」の呼び方の違い。厳密にルールはないようで、粒入りをバター、粒なしをクリームと呼ぶ(ピーナッツ)、副材料を入れてそのままパンに塗れる加工品にしたものを「バター」、ナッツそのもので副材料を加えていないものを「ペースト」としている、など様々です。大きな傾向としては、これまでナッツぺーストやナッツクリームとよんできたものも、バターと呼ぶようになってきているのでは、ということです。
これは、世界的に植物性食材中心の食生活(プラントベース)の潮流があり、バターも動物性から植物性が志向されているからではないかと思います。タンパク質では動物性タンパク質(いわゆる肉類)から植物性タンパク質(大豆など)へのシフトが大きな流れになっています。バターの場合は人気の高い商材なので、人気にあやかったネーミングを使うというマーケティング的なこともあるでしょう。これからますます、ナッツバターという分野は確立されていくのではないかと思います。
ナッツバターを作ってみます。
ナッツバターの作り方は、とても簡単です。基本はナッツをローストして、フードプロセッサーで回すだけ。回す時間は機種による違いはあるものの、あっという間にペースト状になります。販売されているナッツは、素焼き、味付けタイプもありますが、生のナッツを使ってローストすることをお勧めします。感動的にフレッシュな味わいが楽しめます。
「カシューナッツは他のナッツと比較すると油脂分が低く、ペースト状になりにくいので、クセのないオイル(太白ごま油や米油)を途中で加えます。加えるタイミングは、ナッツが粒状になった頃。最初に加えるよりも早くペースト状になります。塩や甘みなどを加える場合は、仕上げ段階で入れると味が決めやすいです。」(さっちー)
通常、牛乳の脂質は4%程度で、これがバターの原料となります。残り96%は脱脂乳となり、価値の高い食材として扱われることはなかなかありません。そう考えると、ナッツは脂質が高く、バターを作るのに適しています。植物性でヘルシーということだけでなく、昨今のサステナブルという視点でもナッツバターは理にかなっているのではないでしょうか。