妊娠中も猫を飼っていい?注意すべきトキソプラズマ症とは|医師監修
2024/12/13
妊娠中も猫と暮らして問題ありませんが、感染症に注意しましょう。特にトキソプラズマ症は母体感染するおそれもあるため対策が必要です。医師監修のもと、検査方法や気を付けることを解説します。
猫は、トキソプラズマと呼ばれる原虫に感染していることがあります。トキソプラズマは人にも感染する恐れがあり、「妊婦さんが猫と暮らすのは危険」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。妊娠中にトキソプラズマ症に感染すると、胎児に大きな影響を与えることがあるため、リスクを避けるための対策を知ることが非常に重要です。
本記事では、妊婦さんが猫を飼育する際の注意点やトキソプラズマ症について詳しく解説します。猫と暮らしている方は、ぜひご覧ください。
この記事の監修者
コロンビア大学病院 一般産婦人科医
常盤真琴先生
山形大学医学部卒業、日本医師免許取得。ニューヨーク大学メディカルセンターにて産婦人科研修を修了。米国医師免許取得。現在コロンビア大学病院にて一般産婦人科医として勤務。
猫を飼っている妊婦さんは「トキソプラズマ症」に注意
猫は、さまざまな細菌やウイルスを保菌しており、一部は人に感染する可能性があります。その1つが、トキソプラズマと呼ばれる寄生虫です。トキソプラズマは、単細胞微生物の仲間であり、猫の糞便を介して人に移ります。
子猫からずっと室内飼いで、外に出たりネズミを捕まえたりする猫でなければ、トキソプラズマになる可能性はまずありません。しかし、自由に外へ出られる環境で飼っている猫や、脱走してしまったことのある猫は注意が必要です。
健康な成人であれば感染しても無症状、もしくは軽症で済むことがほとんどですが、胎児はその限りではありません。もし、妊婦さんがトキソプラズマに感染すると、原虫が胎盤を通じて胎児に移行し、「先天性トキソプラズマ症」と呼ばれる病気を発症するおそれがあります。特に、妊娠初期から中期は胎児への影響が大きく、流産になったり、視覚や聴覚障害を引き起こしたりする可能性があります。
なお、トキソプラズマ症は一度感染すれば生涯にわたって抗体が維持され、通常再度感染する心配はありません。つまり、ママが妊娠前にトキソプラズマに感染していれば、胎児へ感染するリスクは非常に低いといえます。
トキソプラズマは猫の糞便以外にも、土や生肉から経口感染することがあります。妊婦が生肉を避けるべきだといわれているのも、トキソプラズマが理由です。以下の記事では、妊婦さんの生肉摂取について解説していますので、併せてご覧ください。
トキソプラズマ症以外の感染症にも注意が必要
猫を介して人に感染する病気には、トキソプラズマ症のほかにも、「ネコひっかき病」や「皮膚糸状菌症」があります。猫ひっかき病は、バルトネラ・ヘンセラという細菌が原因で、猫に引っかかれることで発症する感染症です。猫が感染しても無症状であることが多いですが、人が感染すると発熱や食欲不振、リンパの腫れなどが起こることがあります。
皮膚糸状菌症は、皮膚に寄生する「皮膚糸状菌」が原因で発症する感染症です。特に、子猫や免疫力が弱っている猫には注意が必要で、皮膚のかゆみや脱毛、水ぶくれなどの症状が現れます。ノミやマダニが感染経路になることもあるため、定期的な駆除を行うことが有効な対策法です。妊娠中や出産後は特にペットの清潔を保ち、少しでも心配事を減らせると良いですね。
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犬やハムスターなど猫以外の動物からはトキソプラズマ症にならない
トキソプラズマは、猫以外の哺乳類や鳥類にも感染します。しかし、人に感染する状態のトキソプラズマを排出するのは猫だけであり、犬やハムスター、うさぎなどのペットが感染源となることはありません。
これは、トキソプラズマがどこで成長し、増えるかが関係しています。犬やうさぎ、ハムスターは「中間宿主(ちゅうかんしゅ)」とされ、体の中で寄生虫がある程度育つものの、成熟して増えることはありません。
一方で、猫はトキソプラズマ唯一の「終宿主(しゅうしゅくしゅ)」であり、体内で成熟し、虫卵が作られます。この虫卵が、糞便と一緒に体外に排出されて人間の体に入ることで、トキソプラズマ症を発症するのです。なお、トキソプラズマが人から人に感染することはありません。
猫が感染源を排出する期間の目安は、感染後数日〜2週間です。
感染しているかどうかは抗体検査で調べられる
トキソプラズマは後天的に感染するものであり、すべての猫が保有しているわけではありません。また、一度感染すると体内で免疫ができ、再度感染した場合も中卵を排出しにくくなります。
人も同様に、一度感染すると再感染しにくく、妊娠中でも極端にトキソプラズマをおそれる必要はなくなります。大人や成獣は感染しても症状がほとんど出ないことが多く、知らないうちに感染していたということも少なくありません。
また、過去に猫を飼っていなくても、生肉や土壌から感染している可能性もあります。感染歴があるかどうかは、抗体検査で調べられるため、ペットを飼っている方は一度検査を受けると良いでしょう。
妊婦さんの抗体検査
免疫の有無は「トキソプラズマ抗体検査」で調べられます。抗体検査は一般的な妊婦健診の検査項目にはありませんが、希望すれば、かかりつけの産婦人科や内科などで検査が可能です。新たに子猫を迎えた方や、里帰り先にペットがいる方などは念のため受診すると良いでしょう。
検査を受けて、抗体が陰性だった場合は、妊娠中に感染しないように細心の注意が必要です。陽性だった場合は、専門機関で感染時期を推測することになります。時期を調べる理由は、感染のタイミングによって胎児へのリスクが異なるからです。たとえば、妊娠前であれば、すでに免疫ができており、通常胎児にリスクはありません。一方、妊娠中に初めて感染した場合は、胎児が先天性トキソプラズマ症を発症していないか調べたり、必要に応じて適切な治療や対策が必要になったりします。
なお、一般的に抗体検査にかかる費用は保険適用外です。ただし、トキソプラズマ感染が疑われる症状がある場合は、保険適用になることがあります。検査費用や内容は、医療機関で事前に相談してください。
猫の抗体検査
猫も、血液検査によりトキソプラズマの抗体があるか、現在進行形で感染しているかを調べられます。検査は動物病院で受けられ、もし感染している状態であれば、抗原虫薬や抗生物質を用いて病気を治療します。特に、子猫や老猫は重症化することがあるため、早めの対策が必要です。
過去に罹患歴がある場合は、抗体ができており再度感染する可能性は低いといわれています。もし、感染歴がなく陰性が出た場合は、新たに感染しないように気をつけなければなりません。
トキソプラズマ症にかからないために気をつけること
トキソプラズマ症の抗体がない方や、抗体があるかわからない方は、感染しないための対策が重要です。続いて、感染を避けるためのポイントを詳しく解説します。
飼い猫はできるだけ室内で飼う
トキソプラズマ症は、猫同士の接触により感染するケースが多いため、飼い猫は外に出さないようにします。成獣は病気に罹患していても症状が出ないことが珍しくないため、健康そうに見えても、野良猫や外で暮らしたことがある猫とは接触させないことが重要です。特に、免疫力が弱い子猫や体力が落ちたペットは注意しましょう。
また、猫だけでなく、トキソプラズマに汚染された土壌や水、ネズミや鳥などの小動物から感染することもあります。庭や屋根裏なども避け、清潔な場所で飼うことが理想です。
猫のトイレ掃除は家族にやってもらう
トキソプラズマは糞便に混じって排出されるため、猫のトイレ掃除は、出産するまで家族にやってもらうと安心です。なお、排出直後のトキソプラズマは感染力を持っていません。成熟するまでには、数時間から数日の期間が必要であるため、猫が排便したらできるだけ早めに掃除することもポイントです。
妊娠中にどうしても自分で糞便を処理しなければならないときは、マスクと手袋を着用しましょう。清掃後は十分手洗いすることも大切です。また、トキソプラズマは熱に弱い性質を持ちます。トイレの材質が熱に強いものであれば、定期的に熱湯消毒するのもおすすめです。
土や生肉に触れたら手を洗う
土や生肉がトキソプラズマに汚染されている可能性もあります。ガーデニングや農作業、子どもと砂場遊びをする方は感染リスクが高いため、土を触った後は必ず手を洗いましょう。砂がついたまま目を擦ったり、おやつを食べたりしないようにすることも大切です。また、野菜は流水で十分に洗って、土や汚れを落とします。
生肉を食べないことも、感染予防に効果的です。たとえば、生ハム・ローストビーフ・ユッケ・レアステーキなどは少量でもトキソプラズマに感染するおそれがあるため避けると良いでしょう。
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妊娠中は、猫を介して人に感染することがある、「先天性トキソプラズマ症」に注意が必要です。猫を飼っている方は適切な対応が取れるように、妊婦さんもペットも抗体検査を受けることをおすすめします。トキソプラズマに感染しないためには、飼い猫は室内で飼うことや、トイレ掃除は家族に任せることなどがポイントです。家族で協力して心配事を減らし、穏やかな気持ちでマタニティライフを送ってください。
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