分娩時の呼吸法「ラマーズ法」とは?効果・やり方を助産師監修で解説!
2022/3/7
出産するときの痛みが怖いと心配に思っている人も少なくないでしょう。出産時の痛みを軽減する方法のひとつに「ラマーズ法」という呼吸法があります。この記事では、ラマーズ法の効果や注意点をご紹介します。

出産が近づいてくると、「陣痛に耐えられるかな?」「私でも産めるのかな?」と不安になってしまうものです。そんなママたちを支える呼吸法として広く知られているのが「ラマーズ法」。「ヒッヒッフー」でお馴染みの呼吸法ですが、具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか。やり方や注意点とともに、ラマーズ法について詳しく解説します。
この記事の監修者

助産師・看護師・保育士
河井恵美先生
25年以上、病院、行政、教育関係、海外での医療活動に従事。親御さんへのアドバイスを充実させるため保育士・公認心理師の資格を取り役立てている。現在は、エミリオット助産院を運営。
目次
分娩時の呼吸法「ラマーズ法」とは?本当に効果ある?
「鼻からスイカ」と例えられることがあるように、出産は大きな痛みを伴うものです。ラマーズ法では、この痛みを呼吸法によってやわらげます。
■ラマーズ法とは?
ラマーズ法とは、独自の呼吸法と補助動作によって出産による痛みを抑える自然分娩法です。1951年にラマーズ博士によって提唱されました。痛みを完全に取り除くわけではありませんが、軽減させることができるため和痛分娩の一つとして知られています。
心理的無痛分娩法としても知られ、痛みへの恐怖心がさらなる痛みを生み出してしまう悪循環を止められることが特徴です。「ヒッヒッフー」がよく知られていますが、子宮口の開き具合や陣痛間隔によって細かく呼吸法を変えながら行っていきます。
■ラマーズ法って効果あるの?
「ラマーズ法はちゃんと効果があるの?」「本当に痛みはやわらぐの?」と不安に思っている方もいるでしょう。結論をいうと、ラマーズ法をしっかり行えば痛みを軽減させることにつながります。
呼吸法に集中することで、痛みに意識が向きにくくなります。また、筋肉に酸素を行き渡らせることで過度な収縮を抑え、痛みの増強を抑える効果もあるのです。
人は痛みを感じると呼吸を止めてしまう特徴があります。しかしラマーズ法を行えば、呼吸に集中できるので痛みを感じにくくなり、さらに赤ちゃんへ酸素を送り届けることもできるのです。余計な力を入れなくて済むので、疲労の軽減にもつながります。
ラマーズ法のやり方とは?予習しておこう
出産の際には、医師や助産師から呼吸の指示があるので、呼吸法を暗記しておく必要はありません。しかし、事前に予習しておくことで心に余裕をもった状態で出産に挑めるでしょう。
〈陣痛がまだ弱いとき〉
子宮口の開きがまだ1~3cmほどで陣痛間隔が5~10分程度のときは、深呼吸をしましょう。3秒かけて息を吸い、同じく3秒かけて吐き出します。息を吸うときはお腹の下から上に向かって、吐くときは上から下にマッサージしてください。

〈陣痛が徐々に強くなってきたとき〉
子宮口が3~8cmほど開き、陣痛間隔が2~4分くらいになったら「ヒッヒッフー」の呼吸を行います。まず息を吸って「ヒッヒッ」で短く息を吐き、息を吸って「フー」で長く息を吐いてください。息を吐くときはお腹の外側から下に向かって、吸うときは下から外側に向かってマッサージしましょう。

〈いきむとき〉
子宮口が全開になり、陣痛間隔が30~90秒ほどの速さになったらいよいよです。いきむよう指示があったら、「フーウン」の呼吸を行います。「フー」と息を吐き「ウン」で思いっきりいきんでください。次のいきむタイミングを待っている間は、「ハッハッハ」と短く息を吐きます。息を吐くときは太ももの上から下に向けて、吸うときは下から上に向けてマッサージするように補助動作を行いましょう。

ラマーズ法で出産する際の注意点
ラマーズ法を実践するうえで、注意点が3つあります。
1.呼吸法をしっかり練習しておく
「当日なんとかなるだろう」と思うかもしれませんが、いざ陣痛がやってくると痛みでパニックになり、思ったように上手な呼吸ができないことが少なくありません。陣痛の痛みに気をとられ過ぎたり、陣痛にいだく恐怖心で呼吸が乱れたりしてしまうのです。落ち着いてラマーズ法を実践するためにも、呼吸法をしっかり練習しておきましょう。
2.呼吸が乱れると赤ちゃんも苦しくなってしまう
痛みが強いとどうしても呼吸を止めてしまいがちですが、ママが呼吸を止めると赤ちゃんに酸素が行き渡らず苦しくなってしまいます。ママも痛みでつらいかもしれませんが、赤ちゃんが苦しくならないように呼吸を意識して酸素を取り込んでいきましょう。
3.呼吸がうまくできなくても自分を責めない
いくらイメージトレーニングを積んでも、いざ痛みを目前にすると思ったように呼吸ができないことがあります。練習どおりにいかず、「自分のせいで赤ちゃんが苦しい思いをしているかも」と責めてしまう方もいるかもしれません。しかし、初産婦であろうと経産婦であろうと、出産は体に大きな負担がかかるもの。思いどおりにラマーズ法ができなくても、産まれてきた赤ちゃんに「ありがとう」と言えるような心持ちで出産に挑みましょう。
その他の心理的無痛分娩法
心理的無痛分娩法とは、麻酔を使うことなく妊婦さんの心理的ストレスを減らすことで痛みをやわらげる分娩のことです。ラマーズ法も代表的な心理的無痛分娩法ですが、ほかにもソフロロジー式分娩法やリーブ法といった種類もあります。
■ソフロロジー法
ソフロロジー法とは、出産前から精神的・肉体的なトレーニングを行うことで痛みをやわらげる方法です。妊娠中からエクササイズやイメージトレーニングなどを行っていきます。お産がどのような流れで進むのかを理解しておくことで、安心した状態でお産ができるよう準備しておくのです。
お産に対する恐怖心や不安感を抑えられるため、リラックスした状態で挑めます。ソフロロジー法を行えば、恐怖心を「赤ちゃんにやっと会える」という喜びに変えられるため、落ち着いて分娩台に上がれるママも多いようです。
ソフロロジー法については「ソフロロジー式分娩法とは?出産時の陣痛を和らげる呼吸法を解説」の記事でも詳しく解説しています。
■リーブ法
リーブ法とは、気功を利用した分娩方法のこと。ラマーズ法やソフロロジー法と比べると、新しい分娩方法として知られています。
・Relaxation:リラックス
・Imagination:イメージ
・Exercise:エクササイズ
・Breathing:ブレス
これら4つの頭文字を取ったのがRIEB(リーブ)法です。リーブ法でもっとも特徴的なのは、逆腹式呼吸を行うことでしょう。息を吐くときにお腹を膨らませ、吸うときにへこませます。逆腹式呼吸を行うことで、あるがままの状態を受け入れて心と身体をコントロールできます。
妊娠中から赤ちゃんが産道を通って産まれてくる様子をイメージトレーニングしておくことで、お産をスムーズに進めることも可能です。
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ラマーズ法とは、「ヒッヒッフー」でお馴染みの呼吸法です。子宮口の開きや陣痛間隔に合わせた呼吸を行うことで、陣痛の緩和を目指します。陣痛中も酸素を取り込めるようになるため、赤ちゃんにも酸素が行き届きやすいこともメリットです。分娩台にあがると痛みのあまり呼吸がうまくできないことがあるので、妊娠中からしっかりと練習しておきましょう。
ラマーズ法のほかに、ソフロロジー法やリーブ法などの心理的無痛分娩法もあります。ラマーズ法だけにこだわらず、自分に合うものを見つけてリラックスした状態でお産に挑みましょう。
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