妊婦健診の際に、逆子になっていると言われると「大丈夫かな？」と不安になる方もいるかもしれません。また逆子の状態がずっと続いている場合は、逆子を治す方法があれば実践したいと考える方もいるでしょう。この記事では逆子の原因や治し方、分娩方法についてご紹介します。

逆子はどんな状態？

お腹の中の赤ちゃんは、頭が下にある「頭位」が望ましいのに対し、逆子とは、赤ちゃんのお尻が下に、頭が上にある状態をいいます。医学的には「骨盤位」と呼ばれます。

逆子の診断は超音波検査（エコー）で行い、妊娠30週〜32週の間に、赤ちゃんの頭が上にある状態だと、逆子と診断されます。ただし、赤ちゃんはお腹の中で動くため位置が変わることも多くみられます。
逆子と診断されると、帝王切開での出産を考える必要があります。しかし、臨月になってから逆子が治る方もたまにみられるため、帝王切開が決まっていても、直前で自然分娩へ移行する方もいます。

逆子かどうか、自分で確認したいと考える人もいるでしょう。胎動の感じ方で逆子か判断できるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、胎動の感じ方は人それぞれであり、それだけで自己判断することは難しいと言えます。

逆子になる確率と原因

妊娠中期に逆子と診断される確率は約40％とされています。妊娠中期頃は、まだ赤ちゃんが小さく、お腹の中で動き回るスペースも十分にあるため、逆子となる確率が高いです。しかし、赤ちゃんが成長するにつれて、頭位が逆子から頭が下にある頭位になることが多いので、妊娠中期に逆子と言われても心配する必要はないでしょう。

逆子になる原因は明確にはわかっていません。1人目が逆子だった場合は、2人目も逆子になる場合が多いと言われています。

逆子の予防法はある？

妊娠中期を過ぎると、逆子を防止したいと思う人が多いでしょう。しかし、残念ながらこれといった予防方法はありません。体を温めたり、ストレスをためずに生活したりするといいと聞くかもしれませんが、これらで逆子を防げるという医学的な根拠はありません。

逆子の治し方

出産に向けて、できれば逆子を治したいと思っている方もいるでしょう。ここでは寝る向きの工夫、逆子体操、外回転術について説明します。

なお、十数年前までは逆子体操や外回転術の指導をしているところも多くみられましたが、事故などの発生例もあったことから、現在では積極的に行っている施設は少ない状況です。そのため、実践を検討している方は、必ず医師に相談しましょう。 また、どのような体勢をとると逆子が改善しやすいか等についても、医師に相談してください。

1.寝る向きの工夫

逆子を治す方法として、横向きで寝る方法が有効です。

赤ちゃんの背中のある位置と反対の方向になり、横を向きます。例えば、赤ちゃんの背中が右側にある場合は、左を向いて寝てください。（逆子体操の横向きと同じ）

赤ちゃんの背中の位置は、超音波検査でわかるので、妊婦健診の時に確認しておくといいでしょう。

2.逆子体操

逆子体操は、ママの骨盤に入り込んだ赤ちゃんをお腹の方に寄せて、赤ちゃんの頭が下に回転しやすいようサポートする方法です。妊娠30週ごろ、逆子の診断がつく時期に行うことが多く、妊娠35〜36週の時期まで行ってよいとされています。

しかし、逆子体操をすれば、必ず逆子が治るというものではありません。また、逆子体操は自己判断で行うものではありませんので、必ず医師に相談してから実施しましょう。医師や施設、お腹の状態などによって逆子体操を勧めないケースもあります。

逆子体操は自宅で簡単にできますが、お腹が張りやすくなる可能性があります。お腹の張りを感じる場合や、気分が悪くなる場合、切迫早産と言われている場合はやめましょう。

胸膝位（きょうしつい）のやり方
（１）顔・胸・膝を床につけてお尻を高くあげ、骨盤高位の姿勢をとり（胸膝位）、そのままの姿勢で数分キープします。余裕があればお尻をゆっくりと振ると、骨盤に入り込んだ赤ちゃんがお腹の方にでてきやすくなります。
この時、頭側にクッションなどを置くと体勢がとりやすいです。

（２）そのまま、赤ちゃんが回って欲しい方向に向かってお尻を倒し横になります。初めは数分から、慣れてきたら徐々に時間を伸ばして15分ほど行いましょう。
ポーズを取った後は急に立ち上がらず、しばらく横になってから立ち上がるように気をつけてください。

赤ちゃんが回って欲しい方向（頭位にする方向）とは、赤ちゃんの頭が上で、背中がママの左にある場合は右方向に、もし背中が右にある場合は左方向にお尻を倒していきます。赤ちゃんの背中の位置は、妊婦健診で医師や助産師に確認するとよいでしょう。

ブリッジポーズのやり方

（1）布団やヨガマットなどを下に敷き、仰向けになります。
（2）仰向けの状態で、骨盤の下にクッションやバスタオルを敷きます（高さは、10センチから15センチほど）。
（3）ブリッジの姿勢で手は床を押し、足の裏で床を押します。数分キープし、慣れてきたら10分程度続けます。

終わったらしばらく横になってからゆっくり起き上がりましょう。横になる方向は、膝胸位と同じです。
骨盤をあげる体勢がつらいと感じる場合は、家族に支えてもらってもいいでしょう。

逆子体操の注意点は、お腹の張りを感じたらすぐにやめることです。30週ごろは、お腹が大きくなり張りやすい時期なので、無理をしないようにしましょう。
そして、一生懸命に行うあまり、腰痛になる場合もあります。逆子体操をして腰痛が出る場合は、すぐに中断してください。

3.外回転術

外回転術とは、妊娠36～37週以降に、医師がお腹を触りながら赤ちゃんの回転を促す方法です。外回転術は、以下の条件を満たしている場合のみ行います。

・胎盤の位置が問題ない
・羊水量が正常の範囲内である
・今まで帝王切開といった開腹手術をしたことがない
・胎児の発育がしっかりみられる
・赤ちゃんの頭がお母さんの骨盤を通ることができる（児頭骨盤不均衡がみられない）など

外回転術の成功率は約6割程度で、医師の経験や手技により効果が変わると言われています。また、全ての医師ができるものではなく、現在は実施していない施設も多くあります。

外回転術を行う際は子宮収縮抑制剤や麻酔を使用しますが、お腹を触りながら行うためお腹が張りやすく、また、出血したり、胎盤が剥がれたり（常位胎盤早期剥離）するリスクがあります。さらに、赤ちゃんの心音異常が起きたり、緊急時には帝王切開になったりする可能性もあります。それでも、外回転術を行いたい場合は、事前にリスクについてよく理解し、主治医や家族ともよく相談しましょう。

外回転術は手術適応のため、保険が適用されます。費用の相場は少なくとも3～4万円ほどで、個人によって変わってきます。 施術時間は15分程度ですが、体調変化がないか確認するため、1泊2日の入院で行う病院が多いです。

逆子の場合、出産方法は帝王切開になる？

分娩直前まで、赤ちゃんが逆子だった場合は、基本的には自然分娩（経膣分娩）ではなく、帝王切開になります。自然分娩では、体が引っかかり赤ちゃんがなかなか降りられず難産になる、へその緒が体よりも先に出る（臍帯脱出）ことで脳性麻痺などのリスクがあるためです。

帝王切開とは、お腹を切って赤ちゃんを出産する方法です。費用は病院により異なりますが、手術のため保険適用となり、高額医療も適用になります。帝王切開での出産件数は非常に多く、危険性は少ない手術ですが、合併症（出血や手術後の感染、腸閉塞など）は一定の確率で起こります。
また、帝王切開での分娩となった場合、基本的には次の分娩も帝王切開になります。

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今回は、逆子についてご紹介しました。逆子は自然に治るケースも多いため、妊娠中期までの妊婦健診で逆子と指摘されてもそこまで心配する必要はありません。
逆子を治す方法の中には、リスクが高い方法もあります。逆子を治したい場合は、必ず主治医に相談するようにしましょう。

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