ねんトレの専門家に聞く、「一人で寝られる力」を育む土台づくり
2021/12/22
子どもがなかなか寝てくれなくてお困りのママ・パパは少なくありません。やっと眠りに就いてくれたのもつかの間、1時間程度でベビーベッドから泣き声が聞こえてくる……なんてあるあるを経験されている方も多いでしょう。 そこで今回は、お子さんの睡眠の悩みを解決する方法として「ねんね トレーニング(ねんトレ)」をご紹介します。日本人初の米国IPHI公認「妊婦と乳幼児の睡眠コンサルタント資格」を持ち活動されている愛波 文(あいば・あや)先生 に、ねんトレの概要や行う上でのポイントについて詳しく伺いました。
目次
ねんトレとは?
そもそも気になるのは「ねんトレ」が具体的にどのようなものなのか。早速、愛波先生に伺いました。
愛波 文さん(以下、愛波):私は「赤ちゃんが一人で寝るトレーニング」のことをねんねトレーニング(ねんトレ)と定義しています。赤ちゃんが一人で寝てくれると、ママ・パパ自身もゆっくり眠れますし、その後の夫婦の時間も持てます。また、空き時間ができれば、趣味を楽しんだりジムへ行ったりと、子育て中でも余裕を持って日々を充実させることがメリットです。
——なかには、「泣き続けても放置するのがねんねトレーニング」だと思われている方も多いですよね?
愛波:それもひとつのメソッドです。効果的な子もいるでしょう。ただ個人的には、あまり日本人には向かないのかな、と。やはり泣いている子を放置するのは心が痛いですし、2児のママとして私はやりたくないと思いました。
ねんトレにはいくつかの方法があり、何が最適かは赤ちゃんによって異なります。そのため、反応などを確かめながらその子に合う方法を探しましょう。私の書籍では「フェードアウトメソッド」「タイムメソッド」という日本人に最も合う、かつ科学的にも効果があると言われている二つの方法を紹介していますので、ぜひ参考にしていただきたいです。
“一人で寝る力”はどの赤ちゃんでも持っている
愛波先生によると、ねんトレが必要な赤ちゃんと、必要のない赤ちゃんがいるそうです。その違いは、新生児の頃の習慣が大きく影響するのだとか。
愛波:「うちの子はトントンや抱っこ、沿い乳しないと寝てくれない……」というママは多いですよね。でも、それはただのイメージです。実は、どの赤ちゃんにも “一人で寝る力”は備わっています。その力を信じて新生児の頃から一人で寝る習慣をつけておけば、ねんねに関する悩みの多くは解決できます。
——新生児の頃に“一人で寝る力”が育っていると、なぜその後のねんねに影響が出るのでしょうか?
愛波:4〜5か月の赤ちゃんには、だんだんと睡眠サイクルができあがってきます。いわゆる深い睡眠と浅い睡眠を繰り返す生理現象です。大人の場合は、このサイクルがおおよそ90〜120分と言われています。それに対して、赤ちゃんの睡眠サイクルは45〜60分ほどと短いのが特徴です。だから、新生児の頃は3〜4時間くらい寝てくれていたのに、生後3か月後半から4か月くらいにいきなり1時間おきに目が覚めるようになってしまうことがあります。
赤ちゃんの睡眠サイクルで浅い睡眠になったときに、“一人で寝る力”が育っていない赤ちゃんは、いつもの習慣(トントン、抱っこや授乳など)がないことで不安になって泣いてしまうことがあります。そしてまたトントン、抱っこや授乳がないと眠れなくなってしまいます。それに比べて、“一人で寝る力”が育っている赤ちゃんは目が覚めてもそのまま自然に寝てくれる確率が高くなります。
ねんトレに欠かせない睡眠土台の整え方
“一人で寝る力”を育てることは新生児の頃からでも行えます。しかし、うまく一人で寝付けない赤ちゃんの場合には、6か月以降からねんトレをはじめるのが一般的だそうです。
愛波:ただし、この期間はあくまで一般論です。実際には、赤ちゃんによって離乳食の時期も変わりますし、生まれたときの体重も違いますよね。だから、成長の具合によっては、4か月からはじめることもあります。
■ねんトレを進める上で重要な「睡眠土台」の整え方
ねんトレで重要な要素は「睡眠環境」「ルーティンづくり」「ママ・パパ・保育者の幸福度」の3つだと愛波先生は教えてくれます。こうした睡眠の土台を整えることが、ねんトレを進める上では重要です。
愛波:睡眠の土台を整えないまま「ねんトレ」をはじめても、あまりうまくいきません。無理に一人で寝かせようとしても激しく泣いてしまったり、なかなか泣き止まなかったり、寝てくれたとしてもすぐ起きてしまうことがあります。
はじめにしたいのが睡眠環境の改善。たとえば部屋の温度・湿度、遮光・遮音の調整ですね。あとは、ママがカフェインを摂り過ぎていたりすることも影響します。次に、しっかり昼寝をさせるなど、生活リズムを整える意味でのルーティンづくりです。
そして最後に幸福度。ママ・パパや保育者の心が満たされていて、子育てをしていることも大切です。子育てする側がハッピーでないと、赤ちゃんもハッピーになれませんからね。
——睡眠の土台づくりが、ねんトレの第一歩ということですね。
愛波:はい。実は、とくに生後1歳未満だと、睡眠の土台を整えただけでねんねの悩みが解消されるケースも少なくありません。「たったこれだけのことなのに、夜泣きがなおったんです!」とおっしゃる方もいらっしゃいました。
一方で、2〜3歳頃のお子さんの場合は、クセやイヤイヤ期が重なるなど複合的な要因もあり、寝かしつけの改善には時間がかかることがあります。この場合、睡眠の土台づくりはもちろん、一人で寝かせたいと思っている場合はねんねトレーニングが必要になってくるケースが多いです。
ママ達からのお悩みに専門家が回答!
ねんねに悩むママから寄せられたお悩みの解決方法を、愛波先生に伺いました。同じお悩みをお持ちのママは、ぜひ参考にしてください。
Q.ねんねトレーニングを進めるうえで、寝かせる前に避けた方がいいことは?
愛波:まずはルーティンをつくることが前提です。その上で、同じルーティンを一貫性を持って続けることが大切です。授乳の時間、離乳食の時間、ねんねの時間を全て固定してしまうとなかなか時間通りにいかずイライラしてしまうと思うので柔軟さも大切です。たとえば授乳の時間をきっちり決めてしまったせいで、わざわざ寝ている赤ちゃんを起こしてしまうようなママさんもいらっしゃいます。こうした無理はせず、臨機応変にルーティンをこなしていきましょう。
また、寝かしつけの前のテレビやスマホ・タブレットの利用も、ブルーライトの影響と脳が興奮してしまうことがあるのでだいたい1時間前までには使うのをやめて、ねんねの準備に入りましょう。
赤ちゃんが興奮してしまうような激しい遊びも、就寝前には控えておきましょう。そもそも、赤ちゃんが機嫌よく起きていられる時間には、だいたいの目安があります。機嫌よく起きていられる時間を超えてしまうと、疲れすぎでストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されてしまい、興奮状態になってしまい眠るのに時間がかかってしまうことがあります。そうなってしまう前の段階で、寝かしつけをはじめることが大切です。
Q.夜しっかり寝るためには、昼寝の時間をどうすればいい?
愛波:月齢・年齢によって時間は大きく変わります。
1歳未満の頃は昼寝がとにかく大事。必ず昼寝の時間を設けてほしいです。ちなみに生後8か月頃までであれば、夕寝も必要です。「16〜17時頃まで夕寝させても大丈夫?」と心配される方もいらっしゃいますが、18時頃まで夕寝をしていても問題ありません。
1〜2歳であっても、昼寝をしていないと機嫌が悪くなって夕方頃に癇癪を起こすことがあります。なかなか昼寝をしてくれない子に関しては、午前中に公園でたくさん遊ぶなど、活動量を増すのがポイントです。
2歳半〜4歳頃になると、今度は昼寝のしすぎが問題になります。特に保育園に通っているお子さんの多くが昼寝のしすぎで夜の就寝時刻が遅くなってしまうという悩みを抱えています。夜の就寝時刻が22時~23時と遅くなってしまう場合は、昼寝を早めたり、昼寝から少し早めに起こしたりして対応するのがよいでしょう。
子どもの睡眠の悩みは必ず改善する!ねんトレをはじめるママ・パパへのメッセージ
最後に、愛波先生から読者の皆様へメッセージをいただきました。
愛波:ねんねの悩みは必ず改善できます。だから、悩んでいるならぜひ誰かに相談をしてみてください。IPHIの乳幼児睡眠コンサルタントは、それぞれの子どもに合わせた貴重なアドバイスをくれる存在です。
もちろん書籍を読むといった方法もおすすめです。ただ、とくに今はコロナ禍となり、交流も少なくなっています。自分だけで問題を抱えているのなら、それを誰かに伝える勇気を持ってほしいと考えています。
私の場合は、子どものねんねトラブルが改善することで、ママやパパが自分の人生をより楽しめるようになることが目標です。ねんねの悩みがなくなれば、自分の好きなことができる時間も増えますし、もっと楽しく子育てにも取り組めるようになるはず。そのお手伝いが、私の活動の目的です。
・・・・・
ねんねの問題でお悩みの方に「必ず改善できる」と力強いメッセージを送ってくれた愛波先生。加えて「ねんねの悩みが解消することは、ママ・パパの幸せにもつながる」ということを、熱を持って語ってくれました。今回の記事でねんトレを知ったという方は、ぜひ愛波先生の著書である「ママと赤ちゃんのぐっすり本」(講談社) 、「マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方」(主婦の友社)などをご覧いただき、参考にしてください。
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日本人初 乳幼児睡眠コンサルタント
愛波文(あいば・あや)先生
日本人初 乳幼児睡眠コンサルタント。
IPHI日本代表。Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役。慶應義塾大学教育学専攻卒業。2012年に長男出産。夜泣きや子育てに悩んだことから乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。2015年に次男を出産。現在、2人の男の子の子育てをしながら、企業やイベント講演を行うほか、子どもの睡眠に悩むママ・パパ向け睡眠・子育て・教育について配信する愛波LIVEコミュニティを運営。IPHIと提携し、オンラインで妊婦と乳幼児の睡眠コンサルタント資格取得講座の講師、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム「産後ママSOSプロジェクト」応援団メンバーも務めている。
取材協力/慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム「産後ママSOSプロジェクト」
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