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妊婦は鰻を控えるべき?いつからどれ位の量がNG?│管理栄養士監修

妊娠

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2023/3/6

妊婦さんが鰻を食べるのは控えたいと言われています。ただし、過剰摂取がよくないだけであり、一度や二度、常識の範囲内で食べるのは、問題はありません。この記事では、鰻を控える理由や、時期別の食べてもいい量、その他、妊娠中に注意したい食品について解説します。

妊婦さんは鰻を控えるのが好ましいと言われていますが、その理由は鰻に含まれるビタミンAの量にあります。
なぜ鰻のビタミンAがよくないと言われているのでしょうか。この記事では、鰻を控える理由や、妊娠中の時期別目安量、鰻以外の注意したい食品などを詳しく解説します。

この記事の監修者

管理栄養士・フードコーディネーター/株式会社Sunny and代表取締役

北嶋佳奈さん

「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、レシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベント出演などで活動。近著に「遅夜ごはん 疲れた日でも、これなら作れる。」(宝島社)など。

この記事の監修者

子どもとママ専門の管理栄養士

淵江公美子さん

保育園給食や子育て家庭への作り置き、食育などに携わる。子ども向けレシピ開発やコラム執筆、離乳食相談なども行っており、子どもの食の分野で幅広く活動中。

妊婦さんは鰻を食べてはいけないって本当?その理由とは?

鰻はビタミンAをはじめ、ビタミンB群やビタミンD、ビタミンE、カルシウム、亜鉛などさまざまな栄養を含む優れた食品です。しかし、ビタミンAの量がほかの食品に比べてとても多いため(特に、鰻の肝にはビタミンAが多く含まれている)、妊娠中に過剰摂取すると赤ちゃんに先天的な異常が出る可能性があります。これは動物性食品のビタミンAが代謝される過程で発生する、レチノイン酸という物質が原因と考えられています。これまでに報告されている異常は、赤ちゃんの耳や脳、顔、目などの形成不全や機能不全です。

特に、妊娠を計画する人や、妊娠初期(3か月)の人が過剰摂取を続けると、赤ちゃんに影響が出やすくなると言われています。

このような説明をすると、「ビタミンAをとらないようにしよう」と思われるかもしれませんが、ビタミンAは不足してもいけません。ビタミンAは赤ちゃんの成長に必要な栄養素なので、不足した状態が続くと赤ちゃんの成長に影響が出る可能性があります。
また、ビタミンAは目の機能維持や、皮膚や粘膜を健康に保ち感染症にかかりにくくする、といった働きがあるので、母子ともに必要な栄養素です。

もし、ビタミンAの過剰摂取が心配なら、緑黄色野菜など植物性食品を中心にとるとよいでしょう。植物性食品のビタミンA(β-カロテン)は、必要に応じてビタミンAに変換されるので、摂り過ぎる心配が少ないのです。

■もし鰻を食べてしまったら?

うっかり鰻を食べて不安に思われる方もいるかもしれません。ですが、過剰摂取しなければ大丈夫です。たとえ、うな丼を1杯食べたからといって、すぐに赤ちゃんに先天的な異常が出るわけではありません。

うなぎ1人前(100g)のビタミンAの量は1500㎍で、1日の推奨量は、妊娠初期の場合650~700㎍です。数字を見ると過剰摂取していると思うかもしれませんが、1~2日くらい摂取量が多かったからといって、赤ちゃんに影響はありません。

妊婦さんは鰻をいつからいつまで控えるべき?

鰻が大好きな妊婦さんは、早く好きなだけ鰻を食べたいと思うかもしれませんね。しかし、赤ちゃんへの影響を考えると妊娠初期だけでなく、生まれるまでは食べる量を控えたほうがよいでしょう。先ほど、妊娠初期に影響が出やすいと説明しましたが、妊娠中期や妊娠後期も影響が出る可能性があります。妊娠を考えている方は、妊娠前からビタミンAの過剰摂取に注意するのが理想的です。

ここまで、鰻は控えるべきと説明してきましたが、絶対に食べてはいけないわけではありません。では、具体的にどれくらいなら鰻を食べても大丈夫なのでしょうか。次で、鰻の目安量やビタミンAの推奨量などをご紹介します。

妊娠中でもビタミンAを含む「鰻」を食べたい!摂取OKな量の目安

普段食べているさまざまな食品に、ビタミンAは含まれています。鰻を食べる日は、ビタミンAの過剰摂取にならないよう、鰻と同様にビタミンAを多く含むレバーなどは控えるよう注意してください。

では、具体的にビタミンAを含む鰻を、どれくらい食べてもよいのでしょうか。妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期、授乳中に分けて鰻の目安量や、ビタミンAの推奨量などをお伝えします。

■妊娠初期

妊娠初期のビタミンAの推奨量は、妊婦さんの年齢が18~29歳の場合は650㎍、30~49歳の場合は700㎍となっています。耐容上限量は、それぞれ2,700㎍です(※日本人の食事摂取基準2020版より)。

鰻のかば焼き100gにはビタミンAが1,500㎍含まれるので、推奨量内におさめるには、鰻の摂取量は40~50g程度を目安にするとよいでしょう。先ほども説明したように、1日くらい鰻の摂取量が目安より多くてもそれほど問題ありませんが、妊娠初期は赤ちゃんに影響が出やすい時期です。連日の過剰摂取は控えましょう。

■妊娠中期

妊娠中期におけるビタミンAの推奨量も、妊娠初期と同じく妊婦さんの年齢が18~29歳の場合は650㎍、30~49歳の場合は700㎍です。上限量も2,700㎍と変わりありません。ビタミンAは赤ちゃんの成長に必要なものなので、赤ちゃんがどんどん大きくなる妊娠中期は、摂取量を増やすべきと思うかもしれませんが、必要量が多くなるのは妊娠後期から。それまでは妊娠初期と同じ摂取量でOKです。鰻は40~50gを目安にしてください。

■妊娠後期

妊娠後期は、赤ちゃんにビタミンAがたくさん必要な時期です。そのため、妊婦さんの年齢が18~29歳の場合730㎍、30~49歳の場合780㎍と推奨量が増えています。ただし、鰻に換算すると摂取量の目安は約50gになるので、そこまで量を増やしてよいわけではありません。耐用上限量は妊娠初期と同じく2,700㎍です。ビタミンAの必要量が増えたからといって、過剰摂取をしないよう注意しましょう。

■授乳中の場合

授乳中は、食べたものの成分が母乳に移行すると言われています。しかし、母乳に移行するのはほんのわずかです。妊娠中とは違い、鰻を食べても赤ちゃんに問題は起こりにくいと考えられます。ただし、赤ちゃんに影響がないからといって、毎日推奨量を超えるような過剰摂取はおすすめできません。耐用上限量を上回るくらいビタミンAをとり続けると、頭痛など体の不調が起こりやすくなります。

■鰻と同様に妊娠中の食事で注意すべき食品

鰻の他にも、ビタミンAが多い食品はいくつかあります。併せてご紹介します。

・ レバー
レバーは、妊娠中に不足しがちな鉄分を補給できますが、ビタミンAの含有量も多い食品です。少量を食べることは問題ありませんが、鰻以上にビタミンAが多い食品なので、推奨量を超えやすいです。摂取量には注意しましょう。

・ 穴子
穴子もビタミンAが多い食品ですが、生の穴子の場合、100gあたりビタミンA含有量が500㎍となっており、1尾(約70g)食べても推奨量を超えません。ただし、ほかの動物性ビタミンAと一緒に食べる場合は、摂取量に注意してください。

・ うなぎパイ
お菓子のうなぎパイは、実際に鰻エキスが使用されています。うなぎパイの販売元「春華堂」によると、うなぎパイ6本で鰻のかば焼き100gに相当するビタミンAが摂取できるそうです。カロリーも高くなるため、うなぎパイの食べすぎは注意しましょう。

・ サプリメント
つわりで食事が摂れない代わりに、サプリメントを摂取している方も注意が必要です。サプリメントは少ない量でも簡単に耐用上限量を超えてしまうので、パッケージに書かれている目安量を守りましょう。

今回はビタミンAを取り上げましたが、他にも妊娠中は生もの(生ハム、刺身など)や高カロリー、高塩分の食事など注意したいものがあります。妊娠中の食事について、もっと詳しく知りたい方は、「妊娠初期にいい食べ物とは?栄養たっぷり食材&レシピを管理栄養士が紹介」の記事もチェックしてみてください。

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妊娠中は鰻に含まれるビタミンAを過剰摂取すると、赤ちゃんに影響が出る可能性があります。妊娠中は赤ちゃんへの影響を考えて、鰻の量を控えましょう。鰻の他にも、レバーやサプリメントなどもビタミンAが多いので注意してください。ただし、鰻を目安量より多く食べたからといって、すぐに赤ちゃんに影響が出るわけではありません。常識の範囲内で食べるのは問題ないので、安心してくださいね。

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