令和2年度国産乳製品等競争力強化対策事業(国産チーズ競争力強化支援対策事業)
チーズの味を想像すると浮かぶ味は、ゴーダチーズの味と言っても過言ではないほど、実はわたしたちの身近に存在するゴーダチーズ。普段、よく口にするプロセスチーズの原料の多くがゴーダチーズであることをご存知でしょうか?
王道中の王道であるゴーダチーズと、宮城県のご当地グルメの王道「牛タン」との組み合わせにチャレンジ。今回は一体どのような味になるでしょうか。
ラクレットさんと一緒に、宮城県の「牛タン」とベストマッチなゴーダチーズを探しに行ってみましょう。
日本国内約300軒を越える※工房で、こだわりと職人の技が光る美味しいチーズが作られています。
今回は、牛タンが名物の宮城県内でチーズ工場を探してみることにしました。
※2019年12月独立行政法人農畜産業振興機構調べ
宮城県南部の雄大な蔵王連峰の裾野にある「蔵王酪農センター」は、日本におけるナチュラルチーズ製造の草分け的存在。創業はなんと今を溯ること約60年前。1964年に蔵王町に移転してから、地域ブランドの国産ナチュラルチーズの先駆けとして、1980年のチーズ製造開始から約40年の歴史を持つ老舗です。
牛舎やチーズ工場はもちろんの事、動物や自然と触れあうことのできるふれあい牧場やレストラン、そして大輪の花を愛でることができるバラ園なども併設されており、訪れる多くの観光客でにぎわいを見せています。
今回は、蔵王酪農センター宮沢秀夫さんにお話を伺わせていただきました。
今でこそ日本国内にあるチーズ工房は300を数えるに至りましたが、その草創期では大手企業だけが手がけていたに過ぎません。そんな時代から、ナチュラルチーズ作りを行ってきたのが「蔵王酪農センター チーズ工場」です。
酪農経営の合理化を目指して作られた国産ナチュラルチーズの実験製造工場で、研究が開始されたのが1980年。日本ではほとんど知られていなかったクリームチーズやゴーダチーズの製造が開始されました。
特筆すべきは、当初から研修会が開かれていたという事実。チーズ作りを知りたいと熱望する方々に向けて、その技を学ぶ場が設けられていたのです。日本におけるナチュラルチーズ製造の普及に、大きな役割を果たしていた事は間違いありません。
蔵王酪農センター チーズ工場で作られるナチュラルチーズの原料となるのは、敷地内で飼育されるホルスタインと、蔵王山麓で酪農を営む方々が育てた乳牛から採れる生乳です。その製法は極めて基本に忠実なものであり、工場を案内していただいた宮沢秀夫さんによると「特別な事はしていません」とのこと。長年の研究の末にたどり着いたのは、広大な自然が育んだフレッシュな生乳の良さを引き出す事に尽きるという事なのでしょう。
熟練のチーズ職人たちが丹精込めて作りあげて生まれた「蔵王チーズ」は、名産品として名を馳せる逸品です。その味わいは、国産ナチュラルチーズならではの丁寧な風合いが楽しめる王道といえるでしょう。
さまざまな種類のチーズを製造している蔵王酪農センター チーズ工場。なかでも、日本国内での製造が珍しいチーズ『パニール』や、コンテストで優秀賞を受賞しているナチュラルチーズの王道『ゴーダチーズ』が大変おすすめです。
インドのカッテージチーズと呼ばれる「パニール」。日本ではあまり売られているのを目にしませんが、その製法は極めてシンプルです。加熱後の生乳をレモンなどの酸で固め、ホエイ(水分)を抜くだけ。もちろん、熟練の技術や経験は必要ですが、大規模な設備がなくても作れるので、インドではレストランの厨房などでも作られているそうです。
乳酸菌を加えたりする事もなく、熟成もさせないその味わいは、牛乳がそのまま固まったようなあっさりとしたもの。チーズならではの香りとクセが少ないので、どんな料理とも相性が抜群。熱を加えても溶けにくいのでそのまま具材として熱い料理の中に投入する事ができ、インドカレーの具材としても定番です。めんつゆでひと煮立ちさせたパニールでつくったまぜご飯は、イベントでもすぐに売り切れてしまうほどの人気だとか。
オランダ発祥の「ゴーダチーズ」は、数多くのバリエーションを持つチーズの中で、最も代表的なタイプのひとつです。
プロセスチーズの原料になることも多いので、チーズの味を想像すれば、それはゴーダチーズの味わいそのものになるはず。日本でもっとも有名なナチュラルチーズと言っても良いでしょう。
ゴーダチーズは、加熱殺菌したミルクに乳酸菌や子牛のレンネット(牛乳を固めるために使用する酵素剤)を加え、低温低湿で約3ヶ月から一年の間乳酸発酵させて作ります。蔵王山麓の冷涼な空気の中、独自の製法によってじっくり熟成されるゴーダチーズは、まろやかさと口当たりの良さを併せ持つ深い味わいを楽しむ事が出来ます。
料理に加えれば、ゴーダチーズならではの本格的なコクを堪能することができ、ワインなどのお供にも最高。そして、桜チップで一晩かけて燻されるスモークゴーダも絶品です。ナチュラルチーズの王道とも言えるその味を真っ直ぐに具現化した逸品。それが、蔵王酪農センターのゴーダチーズなのです。
宮城県のグルメといえば、「牛タン」を真っ先に思い浮かべる方も多いのでは?特に仙台では、名物として観光客にも高い人気を
誇っており、テールスープや麦飯との組み合わせはもはや鉄板の組み合わせですね。
さて、そんな牛タンと蔵王酪農センターのゴーダチーズとの組み合わせは、どんな味わいになるでしょうか?
チーズといえば、ハンバーグやチーズカツレツ、そして牛丼のトッピングとしてもポピュラーな存在ですね。そしてゴーダチーズもまた、お肉の味を引き立たせてくれるすぐれたパートナーです。コリコリとした独特の食感を持つ牛タンと、溶けたゴーダチーズのまろやかな味わいのマリアージュはまさに絶品。熱々のテールスープに沈めて食べるのもとても美味しく、新たな発見をすることができました。
「クリーミーなコクを持つゴーダチーズは、様々な食べ方で愉しむ事が出来ます」と宮沢さん。甘みの凝縮したレーズンやドライフルーツにしたベリー類はもちろん、粒マスタードを合わせてみたり、クミン+ラディッシュという食べ方もオススメとのこと。軽い酸味や、甘みとの相性が良いようですね。
※個人の感想です。
良い感じに焼き上げた「牛タン」にトロっととかした「ゴーダチーズ」をかけ、実際にどのような味わいになるか食べてみました。
牛タンとチーズは意外にもあまり世の中にない組み合わせ。
合わせてみると、牛タンの独特な味にゴーダチーズの旨味とコクが絡まり、まろやかになりつつも牛タンの味を引き立てます。
牛タンの切り方が違うと味わいや食感も変わるので、厚みの違う牛タンでゴーダチーズとのマッチングを食べ比べてみるのも一興。
また、牛タンを味噌仕立てにしても◎。味噌とチーズの組み合わせは発酵食品同士ということもあって、とてもよく合うのです。焼いた味噌の香ばしさとゴーダチーズが口の中で重なり合い、ワンランク上の美味しさを体験できることでしょう。
食べ方・組み合わせのバリエーションとして、”タンしゃぶ”もチャレンジの余地あり!ほどよく湯通しした牛タンに溶かしたゴーダチーズをタレ代わりにくぐらせ、一緒に口に運んでみてください。”焼き”の時とはまたひと味違った味わいに出会うことができるかもしれません。
いかがでしたでしょうか?ゴーダチーズの可能性と美味しさをぜひご賞味ください。
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