地域とつながるミニコラム 愛媛県編

「みかんはコミュニケーションフルーツなんです」みかん博士が教えてくれた、地域の愛し方

ミカン畑とライターのいぬいさん
ライターのいぬいさん

01 みかん博士が教えてくれた地域の愛し方
02 離れていても大切にできる地域との関わり方
03 移住の先輩たちに聞いた移住攻略テクニック

はじめまして。ライターのいぬいです。
毎日、東京でパソコンとにらめっこしながら働いている僕ですが……最近、東京以外の地域での暮らしにすごく興味があるんです。

東京ど真ん中での生活は便利だけれど、"自分の理想の暮らしはこれだ!"とまでは思えなくて。自然豊かな風景や、
その町にしかない文化や、その土地だから食べられる美味しい農産物に郷土料理……そういう"都会ではない、
地域にあるもの"に触れながら暮らしたら、もっと豊かな気持ちになれるんじゃないか?

かといって、いきなり「好みの地域を見つけて移住するぞ!」というのも、ハードルが高い。

できるだけ気楽に、「地域とつながりながら、楽しく暮らしたいな」って願望を満たせないでしょうか?

そんなことを考えていたとき、楽天さんから今回の依頼がありました。

なんでも、愛媛県を舞台に「地域との関わり方」「関係人口」を考える記事をつくっていきたいとのこと。
ちなみに、関係人口とは……

関係人口

関係人口とは、仕事や観光などで地域を訪れる「交流人口」や、地域に居住・移住する「定住人口」とは異なり、
地域と多様な関わりをもつ人々のことを指す。
その地域と他の地域を行き来する人や、過去の勤務や居住、滞在を通してその地域との関わりがある人、
その地域にルーツがある人などを総称して「関係人口」と呼ぶ。

交流人口・ほとんどつながりがない人(観光で行ったことがある程度) 関係人口・行き来する人・地域内にルーツがある人(近居、遠居)・何らかの関わりがある人(過去の居住、勤務等) 定住人口・定住者 

※関係人口についての定義は、総務省が関係人口ポータルサイトにて発表している文言を参考にしています
https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html

この「関係人口」って、まさに自分が理想としていた地域とのつながり方かもしれません。
これってチャンスでは!? せっかくなので愛媛のことを知りながら、全3回の記事を通して
「地域とのつながり方」を考えていこうと思います。
ただ、地域に興味を持つには何かしら"興味の入口"のようなものが必要なんじゃないか?とも思います。
たとえば、その土地を好きになる前に、"その土地で愛されているもの"を好きになるのはどうでしょう。

愛媛ってどんな土地なんだろう…考えて思い浮かぶのは、やっぱり"アイツ"ですよね。

こたつの上のみかんを手に取る

なんとなく、「こたつの上に置いてある、甘くて美味しい黄色い果実」くらいのイメージしかない、みかんだけれど……
よくよく調べてみると、実はすごく面白い存在だったんです。

みかんって、実は200種類くらいある そのうち、愛媛だけで40種類くらい栽培してる ほぼ全品種の源流"ゴッドマザー的みかん"がいる 巨大産地「愛媛」のなかにも、さらに多様な産地が

こうした「みかんの面白ポイント」を全部教えてくれたのが、愛媛とも関わりの深い"みかん博士"こと、
清原優太さん(株式会社みかん代表)。みかんが好きすぎて、「株式会社みかん」という名前の会社までつくってしまったんだとか。

そんな清原さんに、みかんのこと、愛媛のことを楽しく話してもらいました!

  • 清原さん
  • 〈プロフィール〉
    清原 優太
    株式会社みかん代表。東京大学在学時にメンバー200名を超える「東大みかん愛好会」を設立し、
    「みかんジュースの出る蛇口」の開発や、みかん農家さんのお手伝いなど幅広く活動。
    『マツコの知らない世界(2018年1月23日放送)』に出演するなど、みかん界の有名人に。
    柑橘のオンライン定期便『柑味(KAN-MI)』も運営。

愛媛は、みかん好きの夢を叶えてくれた

「こんにちは!今日は愛媛のみかんのこと、いろいろお伺いしていきます」

「よろしくお願いします」

オンライン画面ごしの清原さん

取材はオンラインで行いました。清原さん、背景までみかん尽くしです

「みかん好きの清原さんですが、やっぱりみかんの有名産地である愛媛とのつながりも深かったりするんですか?」

「実は、愛媛県に"夢を叶えるのを助けてもらった"ことがあって」

「みかん博士が、愛媛県に夢を叶えてもらった??」

「僕はもともと、東京大学で『東大みかん愛好会』ってものを立ち上げたんです。その団体で学園祭に出たときに
『みかんジュースが出てくる蛇口』をつくって。その際、松山市の方々がとても親切に協力してくれて……」

「情報量が多いですね!(笑) 整理しますけど、まず、みかんジュースが出る蛇口をつくったんですか??」

ミカンジュースを蛇口からコップに注ぐ

「みかんの名産愛媛の小学校では、蛇口からミカンジュースが出る」という
都市伝説を具現化した企画。愛媛県松山市東京事務所と連携して、実現にこぎつけたそう

「やっぱり、みかん好きとしては夢なんですよ。この企画をやったときにすごく沢山の人がみかん愛好会の
ところに遊びに来てくれて、『みんな、みかんのこと興味あるじゃん』って思えた機会でもあったんですよね」

「なかなか強烈なエピソードですね。ちなみに、他の県にはない"愛媛のみかん"の特徴やよさってなんだと思いますか?」

「なによりも"品種の多さ"だと思います。温暖な気候の愛媛は、『栽培できない柑橘がない』と言われるくらい、
柑橘類の生育に適していて。柑橘って日本全国で200種類くらいの品種が流通しているんですが、なかでも
県として一番多くの品種を生産しているのは愛媛県なんじゃないかと思います」

「そんなに沢山の品種があるんですね! でも、そこまで品種が多いと何が違うのかもわからなくなりそう……」

みかん家系図のゴッドマザー的存在「清見」

「ぶっちゃけ、みかんの"違い"ってあるんですか?」

同じ品種でも、農家さんごとに皮の剥きやすさも食感も味も、ぜんぜん違います。ましてや品種が変わると、
分かりやすく違ってくる。たとえば、愛媛でしか栽培されていない『甘平』という種類は粒々にとても弾力があって、
食べていてサクサクと弾けるような甘い味わいが楽しめるんです」

オンライン画面ごしにミカンを見せる清原さん

「そこまで細かくみかんのことを考えたことはなかったです…!」

「あとは、みかんの品種の家系図を見てもらうと面白いかもしれません」

「みかんに"家系図"が?」

ミカンの家系図

品種の掛け合わせを示すみかんの家系図。掛け合わせるごとに世代が増えていくが、
「第四世代」まで新しい品種を生み出したのは愛媛県がはじめてだという
※著名なブランド名がある品種はブランド名での表記を優先しております

「みかんをはじめとする『柑橘』は異なる品種同士を掛け合わせてあたらしい品種をつくっていくんですが、
いま出回っている品種の多くが、『清見』という品種から派生しているんです」

※柑橘とは、ミカン科・ミカン亜科のカンキツ属・キンカン属・カラタチ属に属する植物の総称。一般的に「みかん」として
イメージされるのは、ミカン属の温州みかんや、中晩柑(清美、甘夏、せとか他…)など

「こんなに品種があっても、ちゃんとどこかで繋がっているんですね!『清見』がゴッドマザー的な存在なんだ」

「いきなり膨大な品種を知ろうとしても難しいかもしれません。でも、スーパーで知らない品種を見かけたときに家系図を
想像してみたり、『このみかんの"子どもの品種"の味も好きかも』みたいに思うと楽しめそうじゃないですか」

「確かに、知らなかった世界が一気に広がる感じがします」

「いい季節に産地の直売所に行くと、いろんな品種のみかんがずらっと並んでいるんですよ」

産地の直売所のみかん売り場

「品種の話を聞いたあとだと、ちょっとずつみかんの違いが見えてくる気がします。
けど、やっぱり現地にいくのは少しハードルが高いかも…」

「最初から現地に行かなくても良いと思いますよ。地元の直売所にすべての品種が売っているわけじゃないし、
むしろ、気になった品種があればネットショップで探してみるのも楽しいと思います

「ネットショップでも、愛媛の特産品が楽しめると」

オンライン画面ごしにミカンを剥く清原さん

一口に『愛媛』と言っても、みかん産地ってすごく細かく分布してるんですよ。今治市、松山市、八幡浜、宇和島、愛南町……
と市町村で分けられるし、さらに宇和島を分解すると、たまつ、吉田、象潟と、その細かいレベルでも特色が別れているんです」

「そんなに細かく分かれるんですね」

「『この時期だったら、この地域の農家さんのみかんがいい』なんてこともあるので。みかんの品種って地域に
すごく密接に関わり合ってるんです」

「みかんの品種に詳しくなったら、地域にも興味が出てきそうですね」

「それに、みかんってわりと日本全国に産地があるから『うちの地元ではこんなみかんが採れて……』なんて
ご当地トークにもつながる。みかんって、みんなの会話のきっかけになれる
"コミュニケーションフルーツ"
だと思うんですよね」

「みかんは、コミュニケーションフルーツ……! 清原さんのみかん愛に溢れた言葉を聞いてると、
僕もみかんを栽培している現地のことが気になってきました」

ノートパソコンに向かい話を伺うぬいさん

「いいですね! いっそ、いきなり農家さんとつながってしまうという手もありますよ」

「そんなことが?」

「みかん農家さんは収穫時期になると季節労働的にアルバイトを募集されていることもあるので、
『少しだけみかん農家で働いてみる』という体験もできるんです。よかったら、現地の農家さんを紹介しましょうか?」

「いいんですか! ぜひぜひ、お話を聞いてみたいです」

地域の暮らしを知る、ツーリズム

こうして、みかん博士の清原さんから紹介してもらったのが、みかん農業と音楽活動を両立しつつ、移住者の受け入れ活動も
おこなっている団体『農音』。代表の田中さんに、現地でのみかん農家としての暮らしをオンラインで伺いました。

  • 田中さん
  • 〈農音 田中さんプロフィール〉
    田中 佑樹 NPO法人農音 - 代表理事
    1979年松山市生まれ。大学進学時に上京したのち、2011年に松山市中島に移住。
    運営する団体『農音』ではみかん農業と地域活性を掲げ、移住者の受け入れ活動もおこなっている。

「はじめまして! みかんのこと、農家さんの目から教えてください」

「はい、よろしくお願いします」

オンライン画面ごしの田中さん

「現地に行くと、農作業やみかんの収穫のお手伝いができると聞いたんですが、それって誰でもさせてもらえるんですか?」

「時期にもよりますが、数週間〜数ヶ月の単位の"アルバイト"としてなら、現地の農家さんは毎年求めていると
思いますよ。こんな感じで収穫作業を手伝ってもらったり」

「うわあ〜! すごい自然ですね! 都会にずっといるから、こういう場所に行きたいんですよね。
自然の風景に囲まれるだけで、新鮮で豊かな気持ちになれそうです」

「もっと気軽に体験してみたいなら、僕たちがやっている『グリーンツーリズム』
参加してもらう方がいいかもしれません」

「『グリーンツーリズム』…? それってなんですか?」

「僕たちは愛媛県の『中島』という島でみかん農業をしているんですが、中島での暮らしを1泊2日で体験してもらう
観光プログラム
です。『移住しなくても島のことがよくわかる』ことを心がけていますね」

「具体的には、どんなことを体験できるんですか?」

「みかん農家の作業を体験するのはもちろん、魚を釣って食べたり、ジビエのことを知ったり、
景色の良いところでゆっくり過ごしたり。自分たちの日常を切り取って伝えるようにしています」

「自分たちの生活が楽しいものだと思っているので、そのまま体験してもらうのが一番かなと思って」

「島暮らしの楽しさに触れられるんですね。土地に住む前にそういうことを知るのって、
まさに"関係人口"的な関わり方の第一歩かも」

「グリーンツーリズムでも、観光より『移住に興味がある』という方であれば、もっと詳しいことを
お話することもあります。島のコミュニティの話とか、ゴミの捨て方の話まで」

「かなり具体的だ。田中さんご自身も移住者なんですよね。移住を決めたきっかけって何かあったんでしょうか?」

オンライン画面ごしの田中さん

「元々は東京でバンド活動をしながら暮らしていたんですが、ずっと都市部での生活に違和感を感じていて。
結果的に、東日本大震災のあとに移住することになりました」

「中島を選んだ理由はなぜですか?」

「実は中島に知人の持つ空き家があって。みかん農家になったのも、この土地が
あまりにも柑橘類の栽培に適していたので、ごく自然な流れというか」

「田中さんにとって、身近な選択肢として中島での暮らしがあったんですね!」

「身近な土地だから心理的なハードルが下がっていたことも、理由になったと思います。
中島には、親戚と一緒にキャンプをした思い出があって。どこか思い出のある土地だった。
そういう意味では、もともと僕は中島の『関係人口』だったとも言えるのかもしれません

「移住するとか足繁く通うだけじゃなく、『一度行ったことがある』とか『愛着がある』だけでも、
『地域とつながる=関係人口になる』ことができるんだなあ」

「なんとなく気になってその土地の情報を調べるとか、ネットショップで気になった土地のみかんを買うとかでも、
地域とつながっていることになる
と思います」

オンライン画面ごしの田中さん

地域とつながるといっても、『自分と相性のいい地域が見つかる』かどうかが重要だと思うんですよね。
さっきいぬいさんの口から出たみたいに、無理に『関係人口』という言葉の定義をする必要はないんじゃないでしょうか」

「『関係人口とは何か?』を決めるより、自分と地域がマッチしているかの方が大事ということですね」

「『関係人口』って言葉も、世のなかで起きている複雑なものごとに、名前をつけているだけじゃないですか。
言葉の定義に縛られず、なんでも関係人口だと思っていい」

「たしかに、『関係人口とは何か』を知ろうとしていました。なんでもいいんだ」

「たとえば、親が子どもに『昔旅行で行ったことのある、この土地が好きだった』って話をしていたとする。子どもが
『どんな土地なんだろう?』って気になりはじめたら、その子はその土地の関係人口と言ってもおかしくないと思うんです」

「そう考えると、気楽に『好きな地域』『気になる地域』を探してみてもいいのかも知れないですね。
今日はありがとうございました!」

まとめ

特産品である「みかん」を通して、愛媛について知った今回のインタビュー。

ネットショップで気になった土地のものを購入したり、ふるさと納税をしてみたりするだけでも、
「関係人口になっている」と言えることが、お話のなかでわかりました。

記事の中で紹介した「グリーンツーリズム」のような旅行体験も、その土地のことを知って関心を持つという意味では「関係人口」になるのと同じこと。

地域とつながる暮らしは、意外と身近に転がっているみたいです。

そして、自分の求める暮らしがなんなのかを考えながら、地域との自分なりの関わり方を見つけていけばいいのかもしれません。

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    02 愛媛生まれのお祭り好きが見つけた、「離れていても大切にできる」地域との関わり方

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〈地域とつながるヒント〉
特産品の購入を通して、気になる地域とつながってみるのはいかがでしょう?
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https://event.rakuten.co.jp/furusato/area/ehime.html

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https://www.rakuten.co.jp/e-bussan/

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