タイ国大使館商務参事官事務所のチャンタパット・パンジャマーノンさんに、
タイの食文化、毎年大盛況の“タイフェスティバル東京”についてお話を伺いました。
右: タイ国大使館商務参事官事務所 チャンタパット・パンジャマーノンさん 左:楽天グループ株式会社 實籾
タイ国大使館商務参事官事務所 チャンタパット・パンジャマーノンさん
タイ国大使館商務参事官事務所・商務公使。商務省輸出振興局(現・国際貿易振興局)、在ポーランドタイ国大使館商務部、国際貿易振興局を経て、2023年より現職。
インドシナ半島の中央に位置し、日本の約1.4倍の国土を持つ、豊かな自然に恵まれたタイ。これまで王朝として独自の文化を築いてきたタイは、各地に歴代王朝の貴重な遺跡が点在し、穏やかな時間が流れる国です。海、山、遺跡、そして近代的な都市と、エリアごとにさまざまな表情を持ち、世界中から訪れる人々を魅了します。
例えば、高層ビル群がたち並ぶ首都・バンコク。賑やかな「チャトゥチャック・マーケット」から、「サイアムパラゴン」や「アイコンサイアム」のような高級ショッピングモールまで、思い思いのショッピングが楽しめ、ナイトスポットも活気に溢れています。同時に「ワット・プラケオ」、「ワット・ポー」など、タイを象徴する寺院も多く、街の豊かな歴史を随所で感じられるエリアです。
息を飲むようなパノラマビューと共に古都の魅力を堪能できるのが、文化と自然の拠点・チェンマイ。タイ最高峰の「ドイ・インタノン国立公園」、ハイキングコースを備えた「ドイステープ」など、美しい公園や山々を散策し、眼下に広がる古都の街並みをぜひご覧いただきたいです。旧市街地近くに点在する歴史的な寺院、保護された象と触れ合える「エレファント・ネイチャーパーク」も人気です。
また、プーケット島やサムイ島、クラビ、パタヤをはじめ、タイには素晴らしいビーチリゾートがあちこちにあります。エキサイティングなウォーターアクティビティや島めぐりを楽しんだり、のんびりとバケーションを満喫したり、さまざまな過ごし方ができるでしょう。
タイは、ストレスフリーで柔軟なライフスタイルを好む国として知られ、人々は幸福感や楽しみ、社会とのつながり、順応性を大切にしています。一方で、日本人の規則正しいライフスタイルは素晴らしいと、尊敬もしています。毎年タイには日本から多くの旅行客が訪れていますが、対照的なライフスタイルでありながら、お互いに惹かれ合っているのはおもしろいですね。タイのゆったりとリラックスした空気は、日本の人々の心身を癒してくれると、私は信じています。(パンジャマ―ノンさん)
タイの魅力を語るうえで欠かせないのが、タイ料理です。
タイ料理の特徴は、まず、味のバランス。「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「辛味」の5つの味の基本要素が、絶妙なバランスでひとつの料理の中に組み合わされています。世界三大スープのひとつで、2024年にユネスコの無形文化遺産に登録されたトムヤムクンをはじめ、ほとんどのタイ料理で、この複雑で奥深い味わいを体験できるでしょう。
次に、素晴らしい食材です。タイ料理には、ハーブ、スパイス、野菜がふんだんに使われています。色鮮やかで香り豊かに仕上げるだけでなく、栄養も豊富でヘルシーです。最後に、味わいのみならず、食感や盛り付けにもこだわった丁寧な調理法です。食材本来のおいしさや栄養を引き出すために、あらゆるテクニックが駆使されています。
また、タイ料理は実にバラエティ豊かで「北部」「東北部」「南部」「中央部」と、地方によってもそれぞれ特徴が異なります。例えば、北部の料理は一般的にマイルドで、ほかの地方よりも辛さが控えめ。新鮮なハーブを多用した香り豊かな料理が豊富です。名物は、ココナッツミルクベースのカレーラーメン「カオソーイ」。青唐辛子がベースの「ナムプリック・ヌム」など、ディップソースもよく使われます。東北部の料理は、大胆でピリッとスパイシー。青パパイヤのサラダ「ソムタム」、鶏肉の炭火焼き「ガイヤーン」が有名です。南部は強烈な辛さとコク、豊かな香りが特徴で、新鮮な魚介類やココナッツミルク、ターメリックをよく使います。「ゲーン・マッサマン(マッサマンカレー)」は、日本でも人気ですね。ほかの地方料理の影響を受け、もっとも多様性に富んでいるのが中央部。洗練されていて、目にも美しい料理が味わえるでしょう。
タイは“世界の台所”としても知られ、優れた多種多様な食品・食材を世界に提供しています。これまでに挙げた代表的な料理をはじめ、マンゴー、マンゴスチン、ドリアン、パイナップル、タマリンド、ソムオーなど太陽の恵みをたっぷりと浴びたフルーツ、バナナやココナッツを使ったスイーツなど、タイ自慢のグルメを味わっていただきたいです。
タイ人にとって日本は、歴史的・経済的つながり、文化的な憧れから非常に友好的な国で、長い間、旅行先のトップでもあります。日本料理も人気で、タイには約5000もの日本食レストランがあるほどです。新鮮で上質な食材、伝統の技が光る調理技術、季節感を重んじた盛り付けなど、私も素晴らしいと感じています。
そんな両国の友好な関係から生まれたのが、「タイフェスティバル」です。日本におけるタイ料理の普及をめざし、2000年、東京都渋谷区・代々木公園で初めて「タイフードフェスティバル」が開催されました。以降、日本におけるタイ人気の高まりと共に年々規模を拡大、6回目となる2005年には名称を「タイフェスティバル」に変更し、料理以外のタイの魅力もアピールしています。今では、毎年約30万人が来場する一大イベントとなりました。
タイフェスティバルの楽しみ方は、実にさまざまです。飲食ブースには東京近郊の人気レストランが出店し、日タイ両国のシェフが腕を振るいます。定番料理はもちろん、日本ではまだあまり知られていない料理もあるので、この機会に試していただくのもおすすめです。
マーケットには、新鮮なフルーツや特産品など日本で人気の食材から、ファッション、コスメ、手芸品まで、タイ産品が充実しています。レストランでお気に入りのタイ料理を見つけたら、ソースやペーストなどの調味料を購入してはいかがでしょうか。ハーブやスパイスを多用するタイ料理をイチから作るのはなかなか大変ですが、こうした調味料があれば自宅でも簡単に本場の味を再現できます。マーケットは活気ある雰囲気で、まるでタイを旅しているような気分でショッピングが楽しめるでしょう。
また、近年注目されているのがステージパフォーマンスです。日タイ両国のアーティストによりタイ舞踊やムエタイショー、音楽ライブなどが繰り広げられ、多くの観客で賑わいます。特に2024年は日本で絶大な人気を誇るタイドラマの出演者が登場し、大盛況となりました。
こうしたタイドラマの人気から、出演者が宣伝するタイのコスメが日本に輸入されるようになり「楽天市場」でも販売されるなど、マーケットに新たな動きも生まれています。日本では近年、タイのコスメの需要が高まっていて、汗をかいても化粧くずれしにくいと大変好評です。
今後もタイフェスティバルを通じて、タイ産品やエンターテインメント、タイのクリエイティビティを発信していきたいと思います。タイフェスティバルは私たちにとってただのフードフェスティバルではなく、タイの食や文化を伝えるプラットフォームのひとつとして進化し続けていくでしょう。
そうしたタイフェスティバルで人気のタイ産品をオンラインで購入できるのが、楽天市場上で常設している「TOPTHAI タイ物産展」です。2023年度のTOPTHAI タイ物産展は「第23回タイフェスティバル東京」と同時開催し、楽天市場で使えるクーポンを
TOPTHAI タイ物産展で配布するなど、相互誘客を図りました。
TOPTHAI タイ物産展では、私たちタイ国大使館商務参事官事務所が厳選した、おすすめのタイ産品を取り揃えています。手軽に本格タイ料理が作れるミールキットやシーズニングから、タイ料理には欠かせないナンプラーやココナッツミルク、ジャスミンライスまで、実にバラエティ豊かです。フルーツが好きな方には、冷凍のマンゴーやマンゴスチンのほか、素材のおいしさを閉じ込めたドライフルーツも人気があります。
また、近年の売れ筋なのが、カラフルなファッション雑貨や自然派コスメです。タイの魅力が詰まったアイテムにぜひ注目してください。(パンジャマーノンさん)
――タイフェスティバル、および楽天市場で実施しているタイ国商務省国際貿易振興局(DITP)と楽天は、2024年5月、タイ産品販売促進のパートナーシップに関する覚書(MOU)を締結しました。MOUは、DITPが各国の主要ECプラットフォーム運営者と共に実施している、タイ産品の認知度拡大・販売促進を目的としたプロジェクト「TOPTHAI」の一環として締結したものです。「TOPTHAI」は、2024年5月時点で9つの国と地域で進行しており、10番目となる日本での連携先として楽天が選出されました。
今回、パンジャマーノンさんに楽天をパートナーに選んでいただいた理由を改めてお伺いしました。
楽天は幅広い商品を提供する大規模なプラットフォームを有し、多くのユーザー基盤を持つことから、日本のEコマース市場において重要な存在であると、私たちは確信しています。国内だけでなく海外の販売者にも、日本市場でより多くのユーザーにリーチするチャンスを提供しているのは、楽天の強みではないでしょうか。
私たちには、大きく分けてふたつの目標があります。ひとつは、日本中どこからでもタイ産品が購入できる場を作ること。もうひとつは、タイの新商品を紹介する場を作ることです。タイの地方には、まだ日本では知られていないおいしい食品や優れた製品を作っている中小企業が多くあります。そうした企業にとっても、日本市場にアクセスしやすい環境を作り、楽天市場が新商品を最初に紹介するマーケットとなることを期待しています。(パンジャマーノンさん)
これからも日本ではまだあまり知られていないタイ産品のさらなる魅力を発信し、ユーザーが楽しんでお買い物をできる売り場作りを提供していきたいと思います。(楽天・實籾)
※記事の内容は2025年3月時点の情報となります。