※平成29年:福島県企画調整部統計課編:一目でわかる福島県の指標から抜粋
福島県須賀川市にある「阿部農縁」。「園」ではなく「縁」をつかっているのは、人とのつながりを大切にしたいという思いから名付けられました。25a(2500㎡)にもおよぶ桃農園は、代表の寺山佐智子さんとお母さまの正子さんが中心となって大切に育てています。「阿部農縁の桃は、栄養をしっかり吸収させるために完熟に近い状態で収穫しています。そうすることで桃に豊かな風味と上品な香りが生まれるんです」。また、ひとつひとつの実に栄養が行き届くよう実そのものを約5%まで間引きするほか、根に負担をかけないために畑のなかには重機を入れないなど、おいしい桃を届けるために日々桃と向き合っています。
「手に取って真横から見たときに左右対称であること。栄養がまんべんなくいきわたっている証拠ですね」と阿部農縁の正子さんはにっこり顔で教えてくれました。また、全体的にほんのりピンクになっている方が甘さに偏りがなく、どこを切ってもおいしくいただけるのだそう。
阿部農縁ではほぼ完熟状態の桃を朝採れで発送するので、着いたときが食べごろです。暑い季節は桃を冷蔵庫でキンキンに冷やしがちですが、実は冷えた状態よりも15~30分ほど常温の場所に置いてからの方が桃の甘みをより感じやすいのだそう。また、食べきれないときは、コンポートなどにすれば保存期間を大幅に延ばすことができます。
桃は冷蔵庫保管が基本です。市販されている固めの桃は常温で数日置くことで、甘みが増すことも。「もし食べきれないときは、スライスしたあとに冷凍保存するのがおすすめです。一味違った食感が楽しめますよ」と正子さん。冷凍焼けを防ぐため、ジップロックなどをつかって保存するのがおすすめです。
まずは水につけて産毛を落とすところから。切り方は色々ありますが、正子さんが教えてくれたのは最初に一口サイズにカットして皮を剥く方法。「空気に触れるとすぐに黒くなってしまうので、少しでもその時間を短くしたいんです」。皮と実の間が一番おいしいので、皮剥きはスピーディかつ丁寧に。
桃の品種で一般的によく知られているのは上品で芳醇な甘みをもつ「白桃」ですが、福島では実が引き締まりわずかな酸味のある品種「あかつき」が主流。カリカリで甘い食感のあかつき。桃は甘いというイメージがありますが、品種によって味に特性があるので、食べ比べしてみるのもおすすめです。
農家民宿「よらっせこらっせ」は、福島の農家から本当の食を伝えるコミュニケーションの場を提供したいという阿部さんの思いから、加工・作業場の2階にある古民家納屋を改装して建てられました。農業体験をはじめ、食事には採れたて新鮮野菜をつかった農家ならではの味が楽しめるなど、農家民宿ならではの過ごし方ができます。