WOWOWご加入で2,484ポイントプレゼント!【楽天市場】特典付きキャンペーン

全仏オープンテニス2015 WOWOWで5月24日(日)~6月7日(日) 連日生中継!!

錦織圭 世界の頂点へ! 全仏オープンテニス 5/24(日)~6/7(日)連日生中継[初日無料放送]

錦織 圭 選手

■錦織圭選手の全仏オープンテニス2015試合結果

準々決勝
1 2 3 4 5 sets
錦織圭(JPN) 1 4 6 6 3 2
ジョーウィルフライ・ツォンガ(FRA) 6 6 4 3 6 3
4回戦
1 2 3 4 5 sets
錦織圭(JPN) 6 6 6 3
ティムラズ・ガバシュビリ(RUS) 3 4 2 0
3回戦
1 2 3 4 5 sets
錦織圭(JPN)
ベンジャミン・ベッカー(GER) 棄権
2回戦
1 2 3 4 5 sets
錦織圭(JPN) 7 6 6 3
トーマス・ベルッチ(BRA) 5 4 4 0
1回戦
1 2 3 4 5 sets
錦織圭(JPN) 6 7 6 3
ポール アンリ・マチュー(FRA) 3 5 1 0

トーナメント表

tournament_bord_m_s

大会レポート

レポート【大会第15日】

ジョコビッチ敗れる! 伏兵ワウリンカが逆転で初優勝

 第8シードのスタン・ワウリンカ(スイス)が、第1シードで初優勝を狙ったノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒し、全仏オープンでは初めて、グランドスラムでは2014年の全豪オープンに次いで2度目の優勝を果たした。優勝賞金は180万ユーロ(約2億5千万円)、スイス出身選手のこの大会の優勝は、2009年のロジャー・フェデラーに次いで2人目になる。

 グランドスラムでこの大会のタイトルだけ持っていないジョコビッチ、昨年の全豪オープン優勝の実力を裏付けたいワウリンカ――。決勝戦にふさわしい激しく見応えのある戦いだった。ベースラインからの打ち合いには自信を持つ両者が、立ち上がりから火花を散らした目まぐるしいラリーの応酬だ。第1ゲームのデュースで、ワウリンカは40本も続いたラリー戦に打ち勝ち、アドバンテージからは強烈なフォアハンドをストレートに抜いてサービスキープ。互角に打ち合いながらジョコビッチ優位の予想を徐々に崩していった。長いラリー、どこに蟻の一穴が潜んでいるか分からない緊迫感、まして決勝の舞台での精神状態は異常なものだ。第7ゲーム、ワウリンカの緊張がふっと切れた。ラブゲーム、それも最後はダブルフォルトでブレークを許すと、ジョコビッチが一気にそのセットを奪った。

 ジョコビッチは左右どちらの守りも鉄壁で粘り強く、即座に攻守を切り替える機敏さを持っている。一方のワウリンカは同じスイス出身のフェデラーと同じ片手打ちバックハンドで多彩なショットを持っているが、フェデラーの緻密さより豪快さが特徴。ジョコビッチは、フォアに比べてパワーの劣るバックサイドを執拗に攻めた。ワウリンカはクロスコートでじっくりと応戦し、長いラリーから相手を前におびき出して得意のダウンザラインに切り返していく。第2セットに入ってウィナー数がジョコビッチの6に対しワウリンカは16とエンジンがかかり、窮地に陥っても平均時速189キロファーストサーブでクリアした。圧巻は第7、第8ゲームの攻防。ジョコビッチが40-0からデュースに持ち込み、第8ゲームには連続ドロップショットを沈めて追い詰めた。ワウリンカが必死にそこを押し戻し、逆に第10ゲーム、勝負に出た。0-30からバックハンドのパス、フォアハンドの深いショットをダウンザラインに叩きこんでブレークに成功、セットを奪い返した。

 ジョコビッチは立ち上がりに強く、ファイナルセットにも強い。ただ、試合中盤の畳み掛ける攻撃に対してフォアハンドにミスが出る傾向がある。ワウリンカはスピンをかけては攻撃をしのぎながら、第3セット中盤に攻め込んだ。第5ゲームをラブゲームでキープすると、第6ゲームで3連続のウィナーを決め、ラブゲームでブレーク、セットカウント2-1と逆転した。

 第3セットを終わった段階で、ワウリンカのウィナーが43に対し、ジョコビッチは半分以下の20。勢いは確かにワウリンカのものだったが、ジョコビッチは5セットの長丁場で24勝8敗の高い勝率を持っており、まして今シーズン、クレーコートでは16勝の負けなし。グランドスラムの決勝は16度目、全仏は昨年に続いて3度目の舞台で慣れもある。僅かなスキを突いて第4セットの第2ゲームをブレークして3-0としたが、ワウリンカには落ち着きがあった。強打の応酬にバックハンドのスライスを巧く混ぜ、ペースを変えながらチャンスを炙り出す冷静さで第5ゲームをブレークバック。たびたび繰り出すドロップショットに巧く反応されるようになると、さすがのジョコビッチも動揺したのだろう。第9ゲームにセカンドサーブからサーブ&ボレーに出て墓穴を掘り、バックハンド・パスを打ち込まれてブレークされた。

 それにしても、最後まで勝敗の行方が分からなかった。ワウリンカが5-4リードでサーブに立った第10ゲーム、最初のマッチポイントでのファーストサーブがセンターを突き抜けた。フォルトのジャッジを、主審が確認する際どい一打。ジョコビッチがセカンドサーブからポイントを奪ったとき、再逆転が閃いたファンは多いだろう。実際に、そこからブレークポイントもあったが、2度目のマッチポイントで勝利を決めた。最後もバックハンドの深いウィナーだった。

 印象的だったのは、ジョコビッチへの鳴りやまぬ拍手だ。ナダル、マレーを倒しながら、どうしても欲しかったタイトルにまた一歩届かなかった。強かった、本当に強かったという称賛に、まず相手を讃え「本当にありがとう。2年続けて準優勝は辛いけれど、この声援で、ますますタイトルが欲しくなった。来年も挑戦しますから」とにこやかに答えた。

 フェデラーのいるスイスで、ワウリンカは長いこと日陰の存在だった。トップ10に入って全豪オープンで優勝したのは28歳。そして30歳でフェデラー、ジョコビッチを倒して、全仏のタイトルをつかんだ。心に秘めてきた決意が冷静な戦術展開を呼んだのだろう。30代プレーヤーの多かった円熟の大会に相応しい、味のある幕切れだった。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第14日】

セレナが綱渡りで3度目の優勝、男子はジョコビッチがマレーを倒し初Vに王手

 第1シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が第13シードのルーシー・サファロバ(チェコ)をフルセットの末に破り、2年ぶり3度目の優勝を飾った。セレナのグランドスラム優勝は通算20度目で、シュテフィ・グラフの22度に次いでオープン化以降では2番目の記録になった。

 ここまでの対戦成績はセレナの8戦全勝だったが、問題は、風邪が悪化して前日は練習できなかったセレナの体調。お互いにそれを探るような立ち上がりだ。

 第1セット、グランドスラムで初めて決勝の舞台に立ったサファロバの硬さは想定通りだろう。セレナは第4ゲームに40-15のチャンスを掴むと、ここぞとばかりリターンのウィナーを決めて先にブレークした。それでも、やはりセレナには精彩がなかった。持ち味のファーストサーブの確率は50%台で思うようにスピードが上がらず、相手のミスに救われながらの展開が女王らしくない。大事には至らなかったが、第5ゲームにはダブルフォルトを2本で不安を呼びながら、それでも第1セットは6-3で奪って先行した。

 セレナは第2セットもいきなりサービスブレーク。さらに第5ゲームの連続ブレークで4-1としてリズムをつかんだように見えた。グランドスラムで24度目の決勝という経験の持ち主だが、勝ちが見えてきたところで気持ちが先走ったのは、やはり体調への不安があったのだろう。第6ゲームに3本のダブルフォルト。それもデュースに入って連続のダブルフォルトでブレークを許すと、さらに第8ゲームも15-40からのダブルフォルトで追いつかれてしまう。第11ゲーム、サファロバのサービスゲームをブレークして再びリードしたかと思えば、続く第12ゲームは30-15から3ポイント連続で奪われるちぐはぐさでタイブレークにもつれ込み、そこもダブルフォルト絡みで2-7で落とした。まるで新人のような不安定さだった。

 ファイナルセットに入った頃にはサファロバの硬さも消え、第1ゲームをいきなりブレークして流れが移ったかに見えたが、リードしてはプレーが揺らぐのが、女子テニスの歯がゆさであり面白さだ。第4ゲームの30-0からサファロバの腕が縮こまり、ダブルフォルトでブレークバックを許したのが非常に痛かった。ここからセレナは目が覚めたようにレベルを上げてプレッシャーをかけてミスを引き出し、第6ゲームも連続ブレークしてタイトルを手にした。大会を通してミスの目立ったセレナだが、決勝でもウィナー34に対しアンフォーストエラーが42。体調不良とは言え、綱渡りの栄冠だった。

 この日は女子の決勝に先立って、前日の男子準決勝の続きが行われ、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がアンディ・マレー(イギリス)の追撃を振り切って決勝進出を決めた。ジョコビッチが1セットをリードした第4セットの3-3から再開されたゲームは、最初から息詰まるラリーの応酬になり、マレーが第11ゲームをブレークしてフルセット勝負に持ち込んだ。だが、ジョコビッチはファイナルセットに余裕を残しており、改めて鉄壁の守りでマレーの反撃を断ち切って最後は6-1。この大会で2年連続3度目の決勝進出を決め、初優勝を目指して7日にスタン・ワウリンカ(スイス)と対戦する。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第13日】

第13日 ワウリンカが王手 本命のジョコビッチは日没でお預け

 スタン・ワウリンカ(スイス)が地元フランスのジョーウィルフライ・ツォンガを倒し、全仏オープンでは初めて、グランドスラムでは優勝した2014年の全豪オープン以来2度目の決勝進出を決めた。また、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)とアンディ・マレー(イギリス)の準決勝もう1カードは、ジョコビッチが6-3、6-3、5-7とリードした第4セット途中で日没と雨天予報のため順延となった。大会第14日目となる6月6日は、男子準決勝に続き、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)とルーシー・サファロバ(チェコ)の女子シングルス決勝が行われる予定。

 錦織圭を倒して俄然、注目度が上がった地元のツォンガが、この日も立ち上がりから飛ばした。第1セットの相手のサービスゲーム、よく動いてショットを散らし、得意のフォアハンドの決め球で早々にブレークポイントを3本握ったのだが、ワウリンカには平均時速202キロのファーストサーブがあり、片手打ちバックハンドの武器がある。

 片手打ちバックハンドは両手打ちに比べパワーでは劣るが、より広角な攻撃が可能で、長いリーチが取れる。ワウリンカのバックは片手でも威力があり、特にダウンザラインを走るノータッチウィナーが脅威だ。その魅惑の一発が飛び出した。第4ゲームのツォンガのサービスゲームで、ワウリンカは0-40からバックの打ち合いを仕掛けた。ツォンガはフォアハンドに比べてバックハンドに難がある。そこを脅しながら徐々に主導権を奪っていく巧みなテニス。バックハンドのクロスへのリターンエースも交えながら4ポイント連取でデュースに持ち込み、2度目のブレークポイントできれいにダウンザラインが決まった。第1セットはワウリンカが順当に奪ったが、そのまま終わらせないのがツォンガだ。

 第2セット、第1ゲームをいきなりブレークされて後手に回ったが、第8ゲーム、ダブルフォルト2本を貰って追いついた。5-5で迎えた第11ゲーム、2本のブレークポイントを凌ぎ、迎えたタイブレークで爆発した。センターコートの観客の声援の中、怒涛のように6-0まで持ち込んでセットオール。センターコートは割れんばかりの歓声に包まれた。テニスファンは選手に勝ち負けだけでなく、プロフェッショナルの証を求めている。その求めに応えることで、選手は大きなサポートを確信し、それをエネルギーにする。

 第3セットも、ツォンガはワウリンカを追い込んだ。このセットのブレークポイントはツォンガ6に対しワウリンカは0。しかし、ワウリンカはツォンガのこの猛攻を懸命に交わし、2度目のタイブレークン入ってからは常に先行してこのセットを奪った。

 錦織の4回戦が行われた5月31日のことだ。雨で試合が中断されているときに、一か所だけ、12番コートに人だかりがあった。ロジャー・フェデラーとワウリンカが、強くなる雨もお構いなしにびしょ濡れになって練習していた。スイスのライバルは、普段、余り練習をすることはない。2人のこの大会にかけた意気込みが伝わる光景だった。ツォンガの猛攻を交わした、ワウリンカの片手バックハンドの防御力の勝利。3時間46分の激しい打ち合いは、まさに男子テニスの醍醐味だった。

 続くジョコビッチとマレーの試合は、第1セットの激しいやり取りを制したジョコビッチのペースと思われたが、マレーが2セットダウンから歯を食いしばって反撃。1セットを奪い返したところで、順延になった。この休止がどう出るか……。

 ところで、女子決勝を前に、グランドスラム通算20度目の優勝に王手をかけた女王セレナの体調が気になるところ。セレナは、前日、ティメア・バシンスキーとの準決勝で逆転勝ちした後の会見をキャンセル。この日も練習はせず、コメントだけをマスコミに流した。それによれば、大会前からの風邪が悪化して悪寒が激しく、パリのアパートで静養しているとのこと。タイトルへの意欲は強く、体調が戻ることを祈っているというメッセージが届けられた。男子の準決勝にしろ、夜が明けてみなければ何も分からない。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第12日】

-大会レポート- 第12日
セレナが今大会4度目の逆転勝ち! グランドスラム通算20勝目に王手

 現地4日、女子シングルス準決勝2試合が行われ、ルーシー・サファロバ(チェコ)とセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が決勝進出を決めた。サファロバはグランドスラムでは初めての決勝。セレナは全仏決勝はこれが2年ぶり3度目で、過去2度とも優勝している。優勝すればグランドスラム通算20勝目になる。

 今大会は男子の充実に比較して、女子はやや低調と言わざるを得ない。シードを守ってベスト8に駒を進めたのは、第1シードのセレナと第7シードのアナ・イバノビッチの2人だけ。前年覇者で第2シードだったマリア・シャラポワは4回戦で姿を消し、第3シードのシモナ・ハレプは33歳のミルヤナ・ルチッチ バローニに2回戦で敗退。セレナとシャラポワの2強時代とは言え、その2人がいずれも風邪を患っていて、活気に欠けた展開になった。

 この日のセレナは見るからに苦しそうだった。咳き込みながらの入場に不安は隠せない。2回戦のアンナ・レナ・フリードサム、3回戦のビクトリア・アザレンカ、4回戦のスローン・スティーブンスと3試合連続で第1セットを落とし、どうにか逆転してここまでたどり着いた。

 最大の武器であるサーブに精彩がなく、第1セットのファーストサーブが平均時速166キロで確率が63%。グランドスラムではこれまで3回戦が最高のバシンスキーには失うものがなく、セレナの体が動かないことを十分に計算してきただろう。低調なサーブに打ち合いを挑んでライン際にリスキーなショットを放ち、ドロップショットもたびたび繰り出して前後左右に揺さぶった。第5ゲーム、セカンドサーブからの反撃が功を奏し、ドロップショット、リターンエースで待望のサービスブレーク。一方のセレナはミスが目立ち、第10ゲームに40-15からデュースに持ち込んでこのセット唯一のブレークポイントを掴んだが攻め切れず、この日も第1セットを落とした。

 第2セットに入ってもセレナのサーブは甘く、バシンスキーがストロークで振り回しては先手に出た。セレナは第5ゲーム30-40から連続5本のブレークポイントをどうにか切り抜けたものの、6度目にミスが出て、ここでも先にブレークされる。コートチェンジのベンチで激しく咳き込み、歩くのもやっと。バシンスキーはこの3-2のリードから一気に勝負を決めたかったところだ。そうはならなかった。

 女子テニスの最大の特徴、面白さはメンタリティーの波にある。3セットの短期戦だけに、ちょっとした気持ちの変化が展開を左右して、取り返しがつかなくなる。セレナを倒す大金星、初めてのグランドスラム決勝の舞台が見えたこの場面、バシンスキーの胸中に何が浮かんだだろうか。第6ゲームの15-0から、そこまで決まっていた際どいショットが少しずつ外れ始め、4ポイント連続で奪われ、あっさりブレークバックを許した。続く第9ゲーム、セレナが時速190キロ台のファーストサーブを4連続で叩きこんでサービスキープ。さらに第8ゲームではダブルフォルトも引き出して連続ブレーク。スタンドが呆気に取られる内に流れが変わってしまった。

 ファイナルセットに入ってからは、守りに入ったバシンスキーにミスが増え、そこまでのプレーがウソのような一方的展開で6-0。僅かなスキを掴んだセレナはさすが女王とも言えるが、相手が経験豊かな上位シード選手だったらこうはなっていなかったのではないか……そんな疑問が残る試合だった。

 第1試合ではサファロバが08年の優勝者、イバノビッチと対戦。第1セットはリードを許しながら逆転し、競り合いを制して決勝進出を果たした。決勝のカードはセレナ対サファロバ。セレナが優勝すれば通算20度目のグランドスラム優勝で、シュテフィ・グラフの持つ22回の記録に肉薄する。


文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第11日】

ナダルが負けた! 29歳の誕生日に11年間で2度目の敗戦

 6年連続、通算10度目の優勝を狙ったラファエル・ナダルが、第1シードのノバク・ジョコビッチに敗れた。ナダルは初出場だった2005年からこれまで全仏オープンでは1度しか負けておらず、これで通算70勝2敗。初優勝を目指すジョコビッチの準決勝の相手は、この日、ダビド・フェレールを倒した第3シードのアンディ・マレーになった。

 立ち上がりから、ジョコビッチが攻勢に出た。第1セットの第1ゲームをラブゲームでキープすると、第2ゲームも厳しいリターンで追い詰め、いきなりブレーク。第4ゲームも連続でサービスブレークに成功して4-0リードと、まるで前日のツォンガvs錦織の試合の再現のような展開になった。しかし、配役は違った。

 これまでグランドスラムで7度優勝しているジョコビッチだが、この全仏のタイトルだけは持っていない。その悲願に向けて準々決勝で早々にナダルと対戦するドローは厳しいものだが、タイトル奪取のためにはいずれ避けられない壁。そして、ナダルにすれば、このロランギャロスのタイトルだけはどうしても譲れない……立ち上がりから激しい火花が散ったのは当然の成り行きだった。

 この日、ナダルは29歳の誕生日を迎えた。全身全霊で戦うプレースタイルに加齢は大きなハンディだが、気持ちのこもったプレーで反撃に出た。左右から仕掛けてくるジョコビッチに対し、深く高く弾むフォアハンドで散らし、ドロップショットを仕掛けられれば追いついてアングルに打ち返す。逆に4ゲーム連取をして流れを元に戻し、満場のセンターコートにナダル・コールを呼んだ。ジョコビッチは立ち上がりを意識して攻め続けた。ナダルがサーブに立った第10ゲーム、ジョコビッチがセットポイントを3本掴んだが、ナダルは前後左右に走り回ってそれをクリア。本来の王者に戻ったかに見えたが、第12ゲームの30-15で痛恨のミスが出た。チャンスボールのスマッシュがアウトに。そこから2本のセットポイントは守れたが、6本目を決められて先手を許した。このセットだけで1時間5分を要した。

 ここまでの対戦成績は23勝20敗とナダルがリードしていたものの、最近6試合ではジョコビッチの5勝1敗。一方、グランドスラムの対戦はナダルが最近6試合で4勝し、全仏では6戦全勝。また、クレーコートでの対戦もナダルが14勝5敗と勝ち越しながら、昨年からはジョコビッチが2勝1敗で、その1敗だった昨年の全仏では第1セットを奪っている。直近のモンテカルロでもストレート勝ちしたことで、ジョコビッチには自信があり、その戦術の一つがドロップショットの多様だ。前の試合のリシャール・ガスケ戦から盛んに使っており、例年より滑ると言われる今年のサーフェスから編み出された戦術かも知れない。ドロップショットで前を意識させ、ナダルが得意とするベースライン後方からの打ち合いを牽制する意味はあった。

 第2セットはサービスキープで進んだが、ナダルは相手サービスゲームでほとんどポイントが取れなかった。ジョコビッチが繰り出す左右からの圧力が、第8ゲームに出たのだろう、2度目のデュースで打ち負けてブレークを許した。第3セットはやや一方的になったが、前2セットのブレークポイントはジョコビッチの計11に対し、ナダルは第1セットの5本だけ。サービスゲームで迎えた第7ゲームはラブゲームでブレークされ、マッチポイントはダブルフォルト――ナダルの壁が2時間27分で崩れた。

 ショックが隠せなかったナダルだが、試合後の会見では来年の雪辱を誓っていた。
「また来年がある。ロランギャロスに戻って来て、またこの大会で勝てるようになるために出来る限りの努力をしたい。出来るかどうか分からないが、そうなるように頑張る」

 ジョコビッチの初優勝までには、まだアンディ・マレー、さらにはスタン・ワウリンカかジョー・ウィルフライ・ツォンガという分厚い壁が残っている。それはそれとして、10年間で1度しか負けなかったナダルの敗戦は、これからのテニス地図に大きな影を投げることだろう。男子に先立って行われた女子の準々決勝では第1シードのセレナ・ウィリアムズと第23シードのティメア・バシンスキーがストレートで勝ち進んでいる。4日は女子の準決勝2試合が行われる。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第10日】

錦織圭、猛追も及ばずフルセットで散る

 錦織圭(日本)は準々決勝でジョーウィルフライ・ツォンガ(フランス)と3時間50分を戦い、2セットのビハインドからセットタイまで追い上げたものの惜しくも敗れ、初のベスト4進出はならなかった。

 強い風が吹き続けるセンターコート。錦織は立ち上がりに精彩を欠いた。相手のツォンガは熱狂的な支持を背負った地元の人気者というだけではない。4カ月間の故障休養から春先に復帰し、心身ともフレッシュな状態で勝ち進んできた勢いがあり、これまでの対戦成績(錦織の4勝1敗)では推し量れない不確定要素があった。いきなり時速208㎞のサービスエースで幕を開けた第1セット、覚悟していたとはいえ独特の雰囲気。第2ゲームで早々にブレークを許したのが尾を引いた。風のせいだろう、錦織はファーストサーブが決まらず後手に回り、ツォンガのツボにはまった感じで自分のテニスを展開できない。第3ゲームに15-40とブレークバックのチャンスがあったが、ここでツォンガがサービスエースを立て続けに決めてキープされ、ややいらいらした様子が見えた。リズムに乗れぬまま0-4とされ、1度だけブレークバックしたものの1-6という意外なスコアに。このセットだけでアンフォースドエラーが12本という多さに加え、気になることがあった。

「第1セットの立ち上がりで、自分の作戦が巧くいかなかったことで焦りが出ました」

 作戦については明かさなかったが、記録から見ると、ツォンガの弱点と言われるバックサイドを突かなかったところだろう。立ち上がりのラリーからツォンガのバックハンドのアンフォースドエラーを見ると、第1セットは0、第2セットは1。バックハンドのウィナーもないということは、錦織は「何故か」ツォンガが得意のフォアを中心に攻め、その結果、相手をリズムに乗せてしまったと見ることができる。

 しかし、世の中は分からないものだ。

 第2セットも2ブレークダウンの2-5とリードされたコートチェンジで、客席上段のスコアボードに設置されていた鳩の糞除けの鉄板が落下。大事には至らなかったものの、観客3人が軽傷を負う事故が発生した。このアクシデントによる約40分間の中断で、試合の流れが変わった。マイケル・チャン・コーチとの接触もあり、作戦の変更、気持ちの切り替えができた。中断明け直後にいきなりサービスブレークに成功して3-5。このセットも4-6で落としはしたものの、流れは明らかに変わっていた。

「あの事故がなかったら、6-1、6-2、6-1とかで負けてたしょうね」

 錦織は、相手のミスを待つ防衛型ではなく、ウィナーをとりに行く攻撃型のテニスを理想とし、その展開が出来ないと精神的にも影響が出る。ウィナー数が第1セットは2、第2セットも事故前までは5。その数が第3セットに13、第4セットには9へと跳ね上がり、ミスも激減して、やっと4勝1敗の対戦成績に相応しい流れになった。

 しかし、この日のツォンガは追いつかれてからも集中力が切れなかった。大声援を背に我慢強く自分のサービスゲームに集中してチャンスを伺った第4ゲーム、錦織が40-15からフォアハンドのミス3本とダブルフォルトで、虎の子のブレークを許してしまった。ツォンガはそのまま自分のサービスゲームをキープし、2年ぶり2度目のベスト4進出を手にした。ツォンガはファイナルセットの5度のサービスゲームで、錦織にわずか3ポイントしか与えなかった。

 スイス同士の激突となった準々決勝のもう1試合は、スタン・ワウリンカが第2シードのロジャー・フェデラーをストレートで下し、女子シングルスの準々決勝ではアナ・イバノビッチ(セルビア)とルーシー・サファロバ(チェコ)が勝ち進んだ。大会11日の3日は、男子シングルス準々決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と今大会10度目の優勝を狙うラファエル・ナダル(スペイン)が対戦する。


文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第9日】

前年覇者シャラポワまさかの4回戦敗退、セレナも苦戦

 大会2週目に入って中身の濃い試合が展開され、男女のベスト8が出そろった。

 センターコートの第1試合、いきなり波乱があった。昨年の優勝者で、第2シードのマリア・シャラポワ(ロシア)が第13シードのルーシー・サファロバ(チェコ)にストレート負け。07年のジュスティーヌ・エナン以来、前年覇者は防衛得出来ないというジンクスが続くことになった。

 シャラポワは大会前から風邪気味。グランドスラムの終盤に入れば、僅かな〈ほころび〉も抉り出される。サファロバは安定したショットに加え、左利き特有のワイドな攻撃で積極的に攻め、かつ我慢強い。好天は戻っても相変わらずの風の強さ。シャラポワのサーブの不安定が競った展開に影を落とした。第1セット、ブレークチャンスをなかなか生かせなかったシャラポワに対し、サファロバは第3ゲームに訪れたこのセットで唯一のブレークチャンスをつかんでプレッシャーかけた。第6ゲームのブレークバックでもつれ込んだタイブレークの5ポイント目、シャラポワに痛恨のダブルフォルトが出て第1セットを落とした。第2セットも似たような展開になったが、サファロバはシャラポワのファーストサーブの確率が54%まで落ちたところを狙って攻撃を緩めず、ストレートで決着をつけた。ウィナー数がサファロバの34に対しシャラポワは20。サーブの弱点をつかれた。

 第1シードのセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)も苦しかった。2年前の全豪で敗れた妹分のスローン・スティーブンス(アメリカ)が強力なフォアハンドを物怖じせずに打ち込んだ。シャラポワ同様に体調が万全でないセレナは、持ち前のサーブが迫力に欠けて攻めのリズムに乗れない。3度のサービスブレークを許して第1セットを落とした。しかし、セレナを救ったのはやはりサーブの破壊力だ。第2セット、スティーブンスが激しいラリー戦を挑んだが、セレナは窮地に立つと強烈なサーブで切り抜けセットタイに。ファイナルセットに入ってからはミスも減って逆転勝ちした。第4シードのペトラ・クビトバ(チェコ)は、格下のティメア・バシンスキー(スイス)を相手に41本のミスで自滅。波乱が続いた中、第17シードで3年前の準優勝者サラ・エラーニ(イタリア)、ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)が淡々と勝ち進み、ノーシードで21歳のアリソン・バン ウィトバンク(ベルギー)が8強入りしている。

 男子は第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が落ち着いたプレーで地元のリシャール・ガスケを退け、第2シードのロジャー・フェデラー(スイス)もやはり地元のガエル・モンフィスを破り、第3シードのアンディー・マレー(イギリス)、大会5連覇中のラファエル・ナダル(スペイン)、一昨年の準優勝者でクレー巧者のダビド・フェレール(スペイン)――波乱の多いと言われるこの大会で、上位8シードの選手のうち7名が8強入りを果たしている。

 錦織圭がジョーウィルフライ・ツォンガ(フランス)と対戦する準々決勝は、現地2日午後2時から始まるセンターコートの第2試合。そこを突破すれば準決勝で顔を合わせる、フェデラーとスタン・ワウリンカによるスイス対決の行方も気になるところだ。


文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第8日】

錦織が全仏初のベスト8、「チャンスは優勝まである」と次はツォンガ

 第5シードの錦織圭(日本)が全仏オープンでは初のベスト8進出を決めた。グランドスラムでは今年の全豪オープンに続いて通算4度目の8強になる。

 この日の対戦相手のティムラズ・ガバシュビリ(ロシア)は世界ランク74位。ここ1、2年の錦織はほとんど格下への取りこぼしがなく、ましてガバシュビリは4月のクレーコートで破っている相手だけに心配はなかった。問題は天候だ。女子の4回戦に続く2試合目で、その第1試合が強い雨で中断。コートに出たのがようやく午後4時前で、細い雨の中でゲームが始まった。ボールが重くなる、中断もある、順延もあり得る……。

「いつもより、やりづらいシチュエーションで、より集中を高める場面が多くありましたが、それほど問題はありませんでした」

 第1セット、相手の最初のサービスをブレークして主導権を握り、途中、雨が激しくなる場面もあったが、淡々としたプレーで第1セットを奪った。強い風を考慮してスピンサーブを多く織り交ぜ、ファーストサーブの確率は74%で安定。4日ぶりの試合を楽しむようなラリー戦から、自在なショットを広角に打ち込んでリズムをつかんだ。

「去年からクレーコートの戦い方を変えてきて、クレーでもウィナーが取れるようになっている。今年もスペインで結果を出して自信になっているし、この大会は、体力的にも余裕があります」

 第2セットに入る前にかなり雨が強くなったが、この土地の雨は断続的で、コートサーフェスの水捌けは抜群に良いため試合続行。錦織にも、第6ゲームが終わったところでコートチェンジと勘違いする「単なる事故」はあったが、集中力を切らしたのはガバシュビリの方だ。第3ゲームにダブルフォルト3本をおかし、第5ゲームにもダブルフォルト絡みで連続ブレークを献上したのは致命的だった。第8ゲームにダブルフォルトのお返しでブレークを許しはしたが、錦織の独壇場でストレート勝ち。1時間56分でけりをつけた。

「全仏ベスト8は目標の一つでしたので、そのゴールをクリアできたのは嬉しいですね。ベスト8も慣れてきたのか、さほど驚きではないです。ここからタフな戦いになりますが、優勝までチャンスはあるかと思います」

 次の相手は、第4シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)を倒した地元フランスの人気者、第14シードのジョーウィルフライ・ツォンガだ。ここまでの対戦成績は4勝1敗とリードしているが、ツォンガは故障上がりで、今シーズンは春からスタートしたばかり。

「ツォンガはサーブとフォアがいい。クレーでは初めてだと思います。不得意な相手じゃないですが、全仏は地元の声援が激しいので集中力を切らさないようにしたい」

 スタン・ワウリンカ(スイス)も8強に進んだが、ロジャー・フェデラー(スイス)とガエル・モンフィス(フランス)の試合はセットカウント1-1となったところで、日没順延。全体を見渡せば、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)、アンディ・マレー(イギリス)、マリン・チリッチ(クロアチア)……強豪ひしめく樹海が広がっている。勝負はこれから。

「プレッシャーはないですね。むしろエキサイティングです」とは頼もしい。

 女子の4回戦は2試合が順延になったが、それに先立ってアナ・イバノビッチ(セルビア)、エリナ・スビトリーナ(ウクライナ)がベスト8に名乗りを挙げている。この日からジュニアが始まり、日本勢の男子はサンティラン晶、福田創楽、徳田廉大、女子は村松千裕がいずれも初戦敗退した。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第7日】

セレナが逆転勝利――アザレンカ相手に最速サーブ202kmが飛び出す


 錦織圭(日本)が久々に会場に戻って練習。世界ジュニアランキング1位のオルランド・ルス(ブラジル)とほぼ1時間打ち合って、4回戦に備えた。試合は現地31日、スザンヌランランの第2試合に入っている。錦織の動向にばかり気を取られている内に、女子もベスト16が決定、第1シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、第2シードのマリア・シャラポワ(ロシア)の2強がいよいよエンジンをふかしてきた。

 風邪気味で、鼻をかみながらのセレナが危なかった。3回戦の時点でグランドスラム優勝のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦するきついドロー。アザレンカがちょうど1年前からの足の故障でランキングを落としたためだが、実力はトップ5だ。セレナは2回戦で、世界ランク105位のアンナ・レナ・フリードサム(ドイツ)に第1セットを奪われただけに立ち上がりが気になったが、この日も第1セット、いきなりダブルフォルトで先にブレークを許してしまった。第3ゲームでブレークバックしたものの、第6ゲームを再びブレークされてセットを先行された。

 最大の武器であるファーストサーブの不安定さを狙われ、第1セットのポイント確率が53%。2人は5月のマドリッドで対戦し、セレナは勝ちはしたがフルセットで僅か1ポイント差の接戦だった。渾身のリターンで攻め込んでくるアザレンカに、第2セットも先にブレークされて追いかける展開だったが、第8ゲームで追いつき、きわめつけは第10ゲームだった。セレナが持ち前の強打を集めて0-40とし、アザレンカがどうにかデュースに持ち込んだものの、4本目のセットポイントをフォアに叩きこんでセットオールとした。獲物が見えてくれば、セレナのパワーは全開する。ファイナルセットも第1ゲームをいきなり落としたものの、徐々に気持ちがボールに乗り移ってその後を圧倒。第5ゲームには時速202kmのサーブも飛び出して決着をつけた。

 セレナの組み合わせブロックでベスト16に残ったシングルシードはペトラ・クビトバ(チェコ)だけで、半分がノーシード。下の山では宿敵のシャラポワが失セット0で勝ち上がっており、女子は2強に絞られつつあるようだ。

 男子では、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)がタナシ・コキナキス、第3シードのアンディ・マレー(イギリス)はニック・キリオスと、ともに話題のオーストラリア勢を倒してベスト16に進み、スペインのラファエル・ナダル、ダビド・フェレールも順当に勝ち上がった。注目の若手ボルナ・コリッチ(クロアチア)は米国の新鋭ジャック・ソックにストレート負け。また女子ダブルスでフランチェスカ・スキアボーネ(イタリア)と組んだクルム伊達公子が敗れ、これで今大会に残った日本選手は錦織だけになった。

 なお、8日目からはジュニアが開幕し、日本勢では豪州育ちのサンティラン晶が注目される。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第6日】

3回戦は不戦勝の好運に恵まれた錦織圭が、この日の練習後、会場で記者会見を開いた。

 会見場には大勢の記者が集まったが、ほとんどが日本のメディアで英語の質問は一つもなく、日本語でのやり取りに終始した。だからと言って、海外での錦織への評価が低いわけではない。優勝候補の一角に挙げる記者もおり、少なくとも第5シードの地位に疑問を抱いているテニス関係者はいない。テニス報道は勝負だけを追いかけるわけではなく、ストーリーを欲しがる。スキャンダルを歓迎するという点で、この日の会見への興味が、国の内外で違うということだろう。

 3回戦で戦うはずだったベンジャミン・ベッカー(ドイツ)の欠場のニュースは、昨日の練習後に聞いたという。「不戦勝は初めてだと思うので驚きましたね。でも、喜ぶわけにもいかないので……」とは、いかにも錦織らしいリアクションだった。ただ、不戦勝はツアーレベルでは経験している。2008年のストックホルム大会でマリオ・アンチッチが欠場したのだが、例によって、昔の記録はよく覚えていないようだ。

「ベスト16と言ってもまだ2試合しかプレーしていないので、気持ちが抜けないかちょっと心配ですが、集中力を切らせないようにしっかり練習したい。試合勘が落ちるということはないので、その点ではあんまり心配していない」

 この日の会見では体力のことに何度か触れていたのが印象的だった。

「3日間のオフは、体力回復が100%できるという点でよかったですね。ヨーロッパに出る前にかなり追い込んできましたが、その疲れはもうありません」

 錦織圭はもともと精神面での強さには定評があった。ここまでの2試合を通して余裕が感じられるのは、言葉通り体力面での不安がないからだろう。昨年も3月から5月にかけて好成績を残していたが、マイアミではロジャー・フェデラーに勝ちながら続くノバク・ジョコビッチとの準決勝を棄権、マドリードでは決勝まで勝ち進みラファエル・ナダルをクレーで撃破寸前まで追い込みながら途中棄権……。しかし、今年はここまで、そうした故障がない。「スポーツは心技体」という常識がそのまま、いまの錦織の充実したプレーに繋がっている。

「体力は短期間で作れるものではないですから、昨年から、色々なトレーニングにも取り組んできたし、そういう意味で体が強くなってきているということは感じます。同時に、大会中のケアにも気を遣っていて、その両方が巧くいっているのでしょう」

 この日の第1試合でルーカシュ・ロソル(チェコ)とティムラズ・ガバシュビリ(ロシア)が対戦し、4回戦の対戦相手はガバシュビリに決まった。今年4月のバルセロナ大会でストレート勝ちしている相手に不安はなく、順当に行けば、その先にトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)、さらにはスタン・ワウリンカ(スイス)、ロジャー・フェデラー(スイス)などの実力者が待ち構えているはずだ。グランドスラムは2週目からと言われる。心技体は万全。楽しみだ。

 この日の3回戦、男子はフェデラー、ベルディヒ、ワウリンカ、女子はマリア・シャラポワ(ロシア)、アナ・イバノビッチ(セルビア)、エカテリーナ・マカロワ(ロシア)ら上位シード勢は安泰だった。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第5日】

錦織に棚からぼた餅! 戦わずの16強入りで夢に前進

 日本のテニスファンにとって、この日の最大の話題は錦織圭の3回戦の対戦相手、ベンジャミン・ベッカー(ドイツ)の欠場発表だろう。ベッカーは前日のフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)戦で、ファイナル10-8のフルセット、3時間13分を戦った。試合後に右肩を痛めての欠場の結果、錦織は一昨年以来2度目のベスト16が決定し、4回戦でルーカシュ・ロソル(チェコ)とティムラズ・ガバシュビリ(ロシア)の勝者と対戦する。

 優勝候補のノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)とは離れた組み合わせというドロー運に次いで、不戦勝による3日間のオフは、2週間の長丁場の舞台では大きなアドバンテージだ。グランドスラム大会での不戦勝は初めてで、4回戦の相手、ロソルとの対戦成績は1勝、ガバシュビリとは3勝1敗、今年のバルセロナではストレート勝ちしている。メジャー初制覇の夢が俄かに現実味を帯びてきた。

 さて、今大会の問題の一つがセキュリティーだ。イスラムステートによるテロの脅威が続き、パリで発生した今年1月の出版社襲撃事件を受け、大会初日のセンターコートで警備上の失態があった。試合後に引き揚げようとしたロジャー・フェデラー(スイス)に男性ファンが近寄って写真撮影を求め、ガードマンがそれを制止しなかったのだ――観衆と選手の距離の近さはテニスの特徴の一つ。1993年、モニカ・セレスが熱狂的なシュテフィ・グラフのファンにコート上で刺された事件の後も、ガードマンを配備するようにこそなったが、金網などの安全策は取ってこなかった。ファンがコートサイドでサインを求める光景は好ましいが、トップ選手にとってそうした交歓は危険と紙一重で、フェデラーの場合、大会前日の練習でも同じ事態が発生していただけに問題が大きくなった。

 この事件後から、錦織の練習は半ば非公開になっている。理由は明かされていないが、ジョコビッチ、フェデラー、ナダルにガードマンの配備はできても、現時点では、錦織人気にまでは対応できないという背景があるのかもしれない。

 テニスは21世紀に入って世界的人気となり、スター選手の練習でも人を呼ぶようになった。昨年の全米オープンではトップ選手の練習をスタンド付きコートに入れて広報するサービスまでして話題になり、この全仏でも基本的に練習予定は公表されている。錦織にしても練習自体は非公開ではないが告知はされず、練習コートは敷地外にも何か所かあるため、いまのところ、いつどこで練習するかは分からない――こうした点からも、テニスは新しい時代に移りつつあるようだ。

 この日の大会進行はほぼ順当で、男子はジョコビッチ、アンディ・マレー(イギリス)、ナダルが危なげなく勝ち進んだ他には、18歳で初出場のボルナ・コリッチ(クロアチア)が、第18シードのトミー・ロブレド(スペイン)をフルセットの末に破っている。女子は第1シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、第4シードのペトラ・クビトバ(チェコ)がセットを落としながらも3回戦にコマを進めたが、第5シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)はユリア・ゲルゲス(ドイツ)にストレートで敗れた。女子ダブルス1回戦に登場した日本の青山修子は惜敗した。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第4日】

錦織万全の2回戦 「格の差」を見せつけクレー巧者を手玉

 錦織圭がクレー巧者を冷静に料理してストレート勝ちを収め、次の3回戦は世界ランク48位のベンジャミン・ベッカー(ドイツ)と対戦することが決まった。

 この日の対戦相手トーマス・ベルッチ(ブラジル)は、前哨戦のジュネーブ250で3年ぶりのツアー優勝を飾って気を良くしているところ。地元ブラジル人記者は「とは言っても、錦織とはぜんぜん格が違う」と控えめな評価だが、かつて4回戦まで上がった地力に自信が上乗せされていた。

 第1セット、錦織がブレークポイントを掴むところまでいっても、左利き特有の外に逃げるサーブにキックサーブを混ぜ、なかなか切り崩せない。第7ゲームは30-0、第9ゲームは40-0としながら凌がれ、第10ゲームまで互いのサービスキープが続いた。ただ、錦織がここで落ち着いてラリー戦に集中したあたりが、ブラジル人記者の言う「格の差」だ。5-5で迎えた第11ゲーム、ダブルフォルトを2つ貰って40-30とすると、このセット6度目のブレークポイントで深いリターンからのラリー戦をモノにし、そのままセットを先取した。

 28歳のベルッチは、かねがね技術の高さを評価されながらメンタル面の脆さが指摘されてきた。第1セットの攻防に弱点の改善が見られたが、錦織とは経験の裏付けが違う。錦織は1回戦からの2日間のオフに会場を離れ「ゆったり過ごした」という。練習は違う場所で軽く1時間ほど。前日には、西岡良仁を相手に左対策に備えてきた。よく知った相手とはいえ、ツアーレベルでは初対戦。序盤は探りを入れるショットも出しながらの熟練の仕込みで、余裕を見せた。

 第2セットに入ってベルッチが崩れた。第1、第3ゲームで、ダブルフォルトを2本ずつ献上したところを、錦織がすかさず攻め込んで一気に5-1まで持ち込み、あきらめムードを固めた。終わってみれば2時間22分のストレート勝ち。第1セットの攻防に醸し出された勝負の綾が、世界ランク5位に定着した錦織の現在を雄弁に物語った。
「これまで全仏では、故障などタイミングが悪く結果を残せなかったが、今年は、体はどこも悪くなく精神状態もいい。クレーコートに自信もあるし集中できている。2試合ともストレートで勝てたのは嬉しい。この先が楽しみだ」

 3回戦の相手ベッカーは、フェルナンド・ベルダスコをファイナルセット、10-8の激戦の末に破ったビッグサーバーだが、錦織は昨年2勝している。ドロー運も順調だ。この日のセンターコートは空席が目立ったが、これから徐々に盛り上がってくるだろう。

 このほかの日本勢では、昨年に続いて2回戦に進んだ奈良くるみは、ルーシー・サファロバ(チェコ)の左からの強打に対応できずに完敗。第7シードのアナ・イバノビッチ(セルビア)に挑戦した土居美咲は持ち前のショット力で第1セットを奪ったものの、攻めきれず惜しくも敗れた。

 男子では第2シードのロジャー・フェデラー、第4シードのトマーシュ・ベルディヒ、第8シードのスタン・ワウリンカらが順当勝ち。女子では第3シード、シモナ・ハレプがベテランのミルヤナ・ルチッチ バローニに敗れる波乱があった。この日は、ファビオ・フォニーニ、エルネスツ・グルビス、ドミニク・ティーム、マルコス・バグダティス、女子のカミラ・ジョルジらも姿を消した。また女子ダブルスでは、初めてフランチェスカ・スキアボーネとペアを組んだクルム伊達公子が逆転で1回戦を突破している。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。
詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第3日】

ジョコビッチ&ナダルは好発進! 女子では人気者のブシャールが初戦敗退

 第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)、全仏5連勝中のラファエル・ナダル(スペイン)が登場し、順調に2回戦進出を果たした。女子では第1シードのセレナ・ウィリアムズ(アメリカ)、前哨戦のムトゥア・マドリード・オープンでセレナを倒して優勝したペトラ・クビトバ(チェコ)も勝ち上がった。

 今大会のポイントは2点に集約される。初出場から10年間で優勝9度のナダルが10度目の優勝を飾るか。唯一この大会だけ勝ちのないジョコビッチが、ナダルの牙城を崩し、キャリアグランドスラムを手にするかの2点だ。

 ナダルは昨シーズン後半、手首の故障と虫垂炎の手術で戦線を離脱し、そこから計画通りの復帰が進んでいない。春のヨーロッパのクレーコート大会でエンジンをふかし、パリに乗り込んでくると言うのがここ10年のルーティーンだったが、今シーズンは10年ぶりにヨーロッパのクレーコートで一つもタイトルを取れないままパリ入りした。誕生日は大会期間中の6月3日。これまで通りに29歳の誕生日を迎えることができるか。それとも年齢的な限界が近づいているのか、ファンは気を揉んでいる。

 1回戦の相手は地元フランス期待の18歳、カンタン・アリス。これまでツアー出場は1試合だけで、この大会では過去2年、いずれも予選落ちしたこれからの選手だ。ナダルにとって肩慣らしに相応しい相手だったのか、物足りなかったかは大会後の総括になるが、1時間49分の危なげないストレート勝ちだった。この段階での判断は難しいが、ナダルにとって現在のテーマは最大の武器であるフォアハンドだという。

「フォアのショットが以前より安定していないのは確かだ。スピンをかけることは出来ても、まだぎこちない。スムーズでない。悪いショットではないけれど、不十分だ」

 武器のフォアが気になるのは、今大会のドローの行方にある。第6シードまで落ちたことで、上半分の組み合わせにナダル、ジョコビッチ、アンディ・マレー(イギリス)、ダビド・フェレール(スペイン)という強豪が集まった。順当に勝ち進めば、ジョコビッチ vs. ナダルという「事実上の決勝」が準々決勝で展開されることになる。しかも、次の2回戦の相手はクレー巧者のニコラス・アルマグロ(スペイン)。気の抜けない戦いが続く。

 一方のジョコビッチはこれまでグランドスラムで7度優勝しているが、全仏のタイトルだけがない。ロジャー・フェデラー(スイス)、ナダルが既に果たしているキャリアグランドスラム…… 全豪オープンを優勝しているだけに、狙いは単純にライバルたちの勲章に並ぶことではなく、2人が為し得ていない年間グランドスラム達成だろう。順調なスタートだ。ヤルコ・ニーミネン(フィンランド)と対戦し、70~80%のファーストサーブの確率から、70%を上回るポイント獲得率。第2セットに先にブレークを許したが、すぐブレークバックして、40本のウィナーを決めてのストレート勝ちだった。

「去年の決勝から1年。久々のセンターコートにチャレンジする気持ちで入った。第2セットは相手がいいプレーをしたが、落ち着いて辛抱強く逆転でき安定していたと思う」

 今年が11回目の全仏挑戦になり、過去にはアンドレ・アガシ(アメリカ)、フェデラーが11度目に初優勝を果たしている。それを聞くと「ラッキーな11年目になるといいね」とニヤリ。

 その他では、第7シードのフェレール、第9シードのマリン・チリッチ(クリアチア)が楽に勝ち上がったが、錦織世代の一角で第10シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)が米国の若手、ジャック・ソックにストレートで敗れた。女子では昨年のベスト4で日本でも人気の第6シード、ユージェニー・ブシャール(カナダ)がクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)にストレート負け。ベテランのダニエラ・ハンチュコバ(スロバキア)が18歳のベリンダ・ベンチッチ(スイス)に敗れた。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第2日】

西岡ら日本3選手はそろってストレート負け

 伊藤竜馬、西岡良仁、ダニエル太郎、日本の男子3選手が格上選手に挑戦し、いずれもストレートで敗れた。シングルス2回戦に上がった選手は錦織圭と女子2人だけになった。

 今大会では、ダニエル太郎と西岡良仁が予選を突破し、日本から計5人の男子選手が本戦入りを果たした。全仏オープンでは1967年の6人以来、4大大会でも73年のウィンブルドンに5人が出場して以来の明るいニュースだった。ダニエルが22歳、西岡は19歳とポスト錦織を担う選手たちに期待は大きいが、この流れに共通していることがある。錦織を含めた3選手はいずれも日本でテニスを始め、その後、ダニエルはスペイン、西岡は錦織と同じ米国フロリダと、早くから海外で訓練を受けてきた点だ。男子に限らず、女子でも17歳の大坂なおみも米国を拠点にしている――国外の波に早く馴染むことが、世界展開のツアーを生き延びる重要なポイントであることは間違いない。

 この日の3人の中で、最も厳しいドローになったのが西岡だ。初めての全仏オープン本戦出場に、第4シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)の壁は高かった。

「初めての全仏、初めてのトップ10相手で、気持ちが舞い上がってしまい、自分のやりたいプレーが出来なかった。第1セット、0-6になって焦りました」

 身長170cm、体重63kgいう小柄な体格。一方、ベルディヒは196cm、91kgらのサーブ、ショットが迫力満点で、第1セットに西岡が奪ったポイントはベルディヒの28に対し12だけ。しかし、第2セットから試合の形になった。西岡のもう一つの特徴は気の強さだ。フォアサイドへの返球を避け、バックの高い地点にボールを集めてラリー戦に持ち込んでミスを誘い出した。第11ゲームまで、互いにサービスキープ。5-6からの第12ゲームに強烈なフォアからの攻撃に脱帽したが、この互角のやり取りで大きな手応えを得たようだ。昨年の全米オープンも予選を突破したが、本戦1回戦でリタイアしただけに、今回は戦い切った満足感があった。

「トップ10の実力を体感できたのは大きいです。これからチャレンジャー大会での試合が続くと思いますが、エネルギーになると思います」

 フロリダ・キャンプではよく錦織圭と練習している。

「テニスの話はあまりしませんが、プレーから学ぶことがたくさんある。圭君も身体は大きくないけれど、攻撃的で色々な球種を使った配球を見習いたい」

 錦織も19歳の頃は体力がなかった。4大大会の中でも最も難しいとされる全仏予選を突破しただけに、これからが楽しみだ。

 ダニエル太郎の相手も、クレーコートで数々のドラマを作ってきたベテラン、フェルナンド・ベルダスコ(スペイン)だった。俊敏なフットワーク、抜群のスタミナを土台に、強烈なカウンターパンチを浴びせてくる。第1セットの第2ゲームをいきなりサービスブレークされたが、第3ゲームでは果敢にネットに飛び出してブレークバック。スペインのバルセロナを拠点にしているだけに、スペインのクレー巧者に物怖じするところが少しもなかった。

「相手が左利きというやり難さもあったし、僕がフォアハンドを思い切り打っても、コートの外から強烈に打ち返してくる。もう少しチャンスがあると思ったんですが、パワーの差があった。でも、ラリーが続けば僕が勝っていたとも思う」

 27歳になった伊藤竜馬も、天才肌のファビオ・フォニーニ(イタリア)にストレート負けだった。伊藤は現在世界ランキング106位と、本人に言わせれば「中途半端な位置」にいる。

「体力は充実していても、いろいろと考え過ぎてバラバラな状態。この大会の準備のスケジュールでもすごく悩んだ。1試合で変わる可能性もあるけど、すべて曖昧ですね」

 ツアー大会の予選に回るか、格下のチャレンジャー大会でコツコツとポイントを積むか――こうした判断は選手それぞれの事情が絡んで難しいが、それは個人事業主である選手の決断次第だろう。本戦入りを果たした5選手は、コート上のやり取りだけでなく、生活そのものの戦いも抱えている。ところで、錦織圭の2回戦の相手がトーマス・ベルッチ(ブラジル)に決まった。ベルッチは左利きで、前週のジュネーブ・オープンで3年ぶりに優勝。通算4度の優勝すべてがクレーコートというのも不気味だ。

 男女とも上位シード勢が勝ち進む中で、第14シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)がドイツの新鋭アニカ・ベックに敗れる波乱があった。

文:武田薫

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 WOWOWでは5/24(日)~6/7(日)まで、現地の感動と興奮の模様を連日生中継という圧倒的なボリュームでお届け。日本のエース錦織圭選手の試合は完全生中継する。さらに、今回の全仏オープンから車いすテニスの放送も開始される。

 詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

レポート【大会第1日】

錦織圭がストレート勝ちで発進!奈良、土居も2回戦へ

 今大会第5シードとして出場する日本のエース、錦織圭が、33歳のベテラン、ポール・アンリ・マチュー(フランス)をストレートで破り、2年ぶりに全仏オープン1回戦を突破した。グランドスラムの初戦には独特の難しさがある。しかもこの日のコート、スザンヌ・ランランは徹底した地元びいきで知られた舞台。繰り返される「ポール」コールが沸き上がっても錦織は平然としたもので、第3ゲームを早々にブレークしてリードを奪ってからは、自分のサービスキープに専念。5-3からの第9ゲーム、得意のバックハンドを利かせて再びブレークに成功して先手を奪った。

 第2セット、第2ゲームをいきなりブレークしたのが大きい。マチューは過去全仏で2度4回戦まで勝ち上がった経験を持つクレー巧者とは言え、最後に4回戦に進出したのは7年前の話。2011年に膝の手術を受けてからはチャレンジャー大会での挑戦が増え、その間に錦織の成長を観察してきたという。

「圭は本当に素晴らしい選手だ。ボールが速く、特に彼のフォアハンドにはスペインの選手とは違う攻撃力がある。この2、3年の成長を見ながら、いずれこの大会で優勝する選手だと思っていた」

 マチューは攻撃のリズムに変化をつけ、第2セットに入ってからは何とか突破口を開こうとリスキーなショットを繰り出してきた。この日の錦織のマイナス面はファーストサーブの確率の低さ。それもグランドスラム緒戦の難しさだろうが、第1セットが41%、第2セットも44%。2-0とリードしてから集中力が途切れたか、第3、第5ゲームはいずれもダブルフォルト絡みでブレークされて2-3と形勢を引っくり返された。それでも続く第6ゲーム、フォアハンドのウィナーを決めるなど、ラブゲームでブレークバックしたのが大きかった。その後、互いにサービスキープで進んだ第12ゲーム、デュースに入って掴んだ最初のセットポイントで、好運のコードボールがネットの向こう側に転がり落ちてくれた。タイブレークに入れば、相手は一か八かの勝負を賭けてきただろう。貴重な1ポイントだった。

 ここ1、2年間、マチューはツアーでの勝ち星がほとんどない。「勝てなければ自信はどんどん下がっていく」と洩らし、上り調子の錦織との差は隠せず、第3セットは6-1で勝負がついた。錦織はストレート勝ちの省エネ勝利に胸をなでおろした。

「ファーストサーブが入らなかった半面、セカンドサーブがよく跳ねてくれた。リターンも、なかなか前だけでは攻められないので、後ろからの重いボールも混ぜ、考えながら戦っていきたい」

 2回戦の相手は、第2日に戦うマリンコ・マトセビッチ(オーストラリア)とトーマス・ベルッチ(ブラジル)の勝者、クレーコートで4度の優勝経験のあるベルッチが有力だ。

 その他の日本選手では、添田豪が第22シードのフィリップ・コールシュライバー(ドイツ)にストレート負け。女子は土居美咲がペトラ・チェトコフスキー(チェコ)を倒して全仏初勝利を飾り、奈良くるみはワイルカード出場の18歳、オセアヌ・ドダン(フランス)に逆転勝ちを収めた。

 上位勢は、男子の第2シード、ロジャー・フェデラー(スイス)、第8シードのスタン・ワウリンカ(スイス)、地元フランスの人気者、ジョー・ウィルフライ・ツォンガらが順当にストレート勝ちを収め、女子も第3シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)、第7シードのアナ・イバノビッチ(セルビア)、第9シードのエカテリーナ・マカロワ(ロシア)らが波乱なく勝ち上がっている。

文:武田薫
提供元:WOWOW
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/

WOWOW放送スケジュール:全仏オープンテニス2015

月日 時間 放送形態 放送内容
5月24日(日) 午後5:30 生 無料 第1日 男女シングルス1回戦
よる10:00 生 無料 第1日 男女シングルス1回戦
5月25日(月) 午後5:55 第2日 男女シングルス1回戦
深夜0:00 第2日 男女シングルス1回戦
5月26日(火) 午後5:55 第3日 男女シングルス1回戦
深夜0:00 第3日 男女シングルス1回戦
5月27日(水) 午後5:55 第4日 男女シングルス2回戦
深夜0:00 第4日 男女シングルス2回戦
5月28日(木) 午後5:55 第5日 男女シングルス2回戦
深夜0:00 第5日 男女シングルス2回戦
5月29日(金) 午後5:55 第6日 男女シングルス3回戦
深夜0:00 第6日 男女シングルス3回戦
5月30日(土) 午後5:55 第7日 男女シングルス3回戦
深夜0:00 第7日 男女シングルス3回戦
5月31日(日) 午後5:55 第8日 男女シングルス4回戦
深夜0:00 第8日 男女シングルス4回戦
6月1日(月) 午後5:55 第9日 男女シングルス4回戦
深夜0:00 第9日 男女シングルス4回戦
6月2日(火) よる8:55 第10日 男女シングルス準々決勝
6月3日(水) よる8:55 第11日 男女シングルス準々決勝
6月4日(木) 午後4:00 車いす 男女シングルス準々決勝/
男子ダブルス準決勝
よる6:55 第12日 ミックスダブルス決勝
よる9:50 第12日 女子シングルス準決勝
6月5日(金) 午後5:00 車いす男女シングルス準決勝
よる7:50 第13日 男子シングルス準決勝
6月6日(土) 午後5:00 車いす 男女シングルス決勝/
男女ダブルス決勝
よる9:45 第14日 女子シングルス決勝/
男子ダブルス決勝
6月7日(日) よる6:55 最終日 女子ダブルス決勝
よる9:45 最終日 男子シングルス決勝
6月10日(水) 午後4:30 車いす女子シングルス決勝(リピート放送)
午後5:30 車いす男子シングルス決勝(リピート放送)
よる6:30 女子シングルス決勝(リピート放送)
よる8:00 男子シングルス決勝(リピート放送)
6月13日(土) 午後2:00 全仏オープンテニス2015総集編
6月20日(土) 午後2:00 男子シングルス決勝(リピート放送)
6月21日(日) 午前11:30 女子シングルス決勝(リピート放送)
  • 楽天市場のジャンル
  • 特集・サービス
© Rakuten Group, Inc.